「ニュースを斬る」

韓国、長期化するろうそく集会のなぜ

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2008年6月27日(金)

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 韓国では、今年2月に新たに就任した李明博(イ・ミョンバク)大統領が4月に米国産牛肉の輸入制限解除したことに、多くの市民が反発、5月から抗議に参加する国民がろうそくを持って徹夜でデモ行進などするろうそく集会を、既に50日以上行っている。

韓国・ソウル(Seoul)で行われた米国産牛肉輸入再開に抗議する集会で、ロウソクを掲げる参加者(2008年5月6日撮影)。(c)AFP/JUNG YEON-JE

韓国・ソウル(Seoul)で行われた米国産牛肉輸入再開に抗議する集会で、ロウソクを掲げる参加者(2008年5月6日撮影)。(c)AFP/JUNG YEON-JE

 国民の抗議行動がこれだけ長期間続くのは、国民の命に関わる重要な問題を、李大統領が国民のコンセンサスを得る努力もせずに、突如として行ったことが1つにある。ろうそく集会が行われているのは、国民が輸入制限解除は死と向かい合わせの重要な問題なのだということを示すためだ。

 韓国で初めてろうそく集会が行われたのは、2002年、米軍の装甲車に轢かれて死んだ2人の少女のために、米軍に反対するデモから始まった。今回も、BSE(牛海綿状脳症)は死と直結するということで、人々はろうそくを持って集会に参加した。

 こうした国民の思いや反米派の前政権の影響もあって、韓国政府は米国産牛肉を、BSEの疑いがあるとして4年間、輸入禁止品目にしていた。それを新政権が急遽解禁に踏み切ったのは、韓国と米国政府の間で2007年4月に締結を合意したFTA(自由貿易協定)がある。このFTAを批准するにあたって、米国は韓国の米国産牛肉の輸入禁止措置の解除を求めていた。

パリパリに、拙速な対応が火を付ける

 李大統領は韓米FTAの批准は韓国経済の刺激策になると、障害になっていた禁止措置を取り払った。韓国経済は実質GDP(国内総生産)の伸び率が2004年に4.7%、2005年に4.2%、2006年に5.1%、失業率も3%台半ばから後半と、まずまずの状況だが、15歳から29歳の若年層の失業率が7.2%と高い。

 現代建設会長などCEO(最高経営責任者)出身の李大統領が、昨年の選挙で当選したのも、雇用創出など経済運営で現在の停滞感を打破してくれる、と期待を集めた面が大きい。韓国には「パリパリ」という言葉がある。それは韓国人の民族性を表すと言われる。「パリパリ」は、「早く早く、急いで」という意味だ。李大統領がFTAの批准を急いだのは、国民の「パリパリ」を感じたからだろう。しかし、結果的には急いだことで、大きな痛手を被った格好だ。

 今回の騒動が2カ月以上も尾を引いているのは、いくつかの要因がある。1つは冒頭に述べたように、国民の命に関わる問題を軽々しく扱ったように見せてしまったこと。これは自身の失策だ。

 そのほかに、マスコミ報道やネットの広がりの影響、さらに反大統領派のキャンペーンなどが関係している。これら自身の管理が及びにくいところでの対応がまずいのは、政治手腕の未熟さとも言え、それが傷口を拡大させているとも言える。

報道、ネットが興奮を助長

 ただ今回のろうそく集会の本質を知るうえでまず理解しなくてはならないことは、韓国のすべての国民が李大統領を糾弾しているのではないこと。日本など海外の方が今回の集会の模様を映したテレビ映像などを見ると、李大統領は韓国全土から批判の矢を浴びているような印象を持たれるかもしれないが、それは正確ではない。

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著者プロフィール

アン・ヨンヒ

韓国・梨花女子大学の非常勤講師。JMM(Japan Mail Media)の「Younghee Ahnの韓国レポート」、朝日新聞 BEの「Ahn@Korea」など、コラムニストとしても活躍中。著書に「シナブロ−若い韓国を知る本」(小学館)がある。



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