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“終わった業界”が地球温暖化を救う

国内林業に復活の兆し(上)

2008年7月3日(木)

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 7月7日から北海道・洞爺湖で始まる主要国首脳会議(洞爺湖サミット)。その最大のテーマが地球温暖化対策である。2012年で期限が切れる京都議定書の次の枠組みをどのように構築していくか。主要8カ国だけでなく、中国やインドなどの主要排出国を交えて排出削減の中長期目標を議論する。
 人類にとって喫緊の課題となった温暖化ガスの排出削減。1つの役割を担うのが森林である。京都議定書で日本に課された削減目標は1990年の排出量の「-6%」。そのうち「3.9%」は森林で吸収することを前提としている。脱炭素社会の実現に向けて注目を集める森林。ここにきて、環境面だけでなく、産業面からも関心を集めつつある。

 国際的な資源価格の高騰が“終わった業界”に光をともし始めた。

 ベニヤなどの合板を製造しているセイホク(本社東京都文京区)。2010年上期をめどに、岐阜県中津川市に合板製造工場を新設する。海に面していない岐阜県での設備投資。輸入木材ではなく、国産木材の使用を前提とした動きである。同様の動きは、日本各地で見られるようになった。

 住宅用構造材などを製造している中国木材(本社広島県呉市)も2009年4月、広島県北広島町に製材工場を作る計画という。同社は2003年、佐賀県伊万里市に国産スギを主原料にした集成材の製材工場を建設。国産材の利用を鮮明に打ち出している。北広島町の製材工場もこの戦略の一環だ。

 「国産材に少し光が当たってきた。この流れが後戻りすることはないだろう」(社団法人全国木材組合連合会の藤原敬・常務理事)。2002年に18.2%まで低下した国産材のシェアも2007年には22.6%に反転。2006年以降もこの傾向は続いており、明確な国産シフトが起きている。

 国内の製材会社の目が国産材に向き始めた要因はいくつかある。1つは、新興国の木材需要の高まりだ。経済発展が続く中国やインド、オイルマネーに沸く中東諸国などで木材需要が増大したため、世界的に木材需給が逼迫した。

国産材の時代が目前に

 さらに、輸入材価格の高騰である。

 1990年代以降、日本市場では欧州からの木材輸入量が急増した。ユーロ安に加えて、安価なロシア産原木を原料として調達しており、欧州材に価格競争力があった。また欧州から日本に向かうコンテナの稼働率が低く、運搬コストが抑えられていたという指摘もある。「原木安」「フレート(海上運賃)安」「ユーロ安」――。こうしたトリプル安が日本市場を席巻する要因になっていた。

 ところが、今は逆の状況が生まれている。ロシアは2009年から北洋材丸太の輸出関税を現行の25%から80%に引き上げるという事実上の禁輸措置を取った。原油価格の高騰によって、フレート価格は上昇しているし、ユーロ高も定着している。国際競争力を取り戻す環境が整ったということだろう。

中国木材の伊万里事業所では、曲がり材などから集成材を製造している

中国木材の伊万里事業所では、曲がり材などから集成材を製造している

 国内の環境変化も見逃せない。中国木材の伊万里事業所では、間伐後、山に放置していた曲がり材なども集成材に加工している。木の繊維を切らずに曲がったままスライスし、引き延ばして乾燥させる。そして、米マツと張り合わせてまっすぐな集成材を作る。こうした技術革新が国産回帰を可能にしている。

 戦後に植えたスギやヒノキがある程度の太さに育ったため、間伐などで切り出した木材を商品として出せるようになったという要因も大きい。「今後、欧州産はさらに値上がりしていく。国産材の時代が来る」と中国木材の堀川保幸・代表取締役は語る。

 1970年代をピークに、国内の林業は衰退の一途を辿ってきた、今のところ、製材という川下における動きだが、世界規模の資源価格の高騰が国内林業に光を当て始めた。もっとも、現状の動きには、手放しで喜べない面もある。

伊万里木材市場や西九州木材事業協同組合、中国木材の3者で作った伊万里木材コンビナート。切り出された材木が山積みになっている

伊万里木材市場や西九州木材事業協同組合、中国木材の3者で作った伊万里木材コンビナート。切り出された材木が山積みになっている

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「“終わった業界”が地球温暖化を救う」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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