肩透かし――。6月26日、2010年度まで3年間の中期経営計画を発表したソニー。しかし、その翌日の株価は約4%下落した。景気の不透明感から東京証券取引所の電機・機械銘柄は平均2.5%下落したものの、ソニーの落ち込みは際立っていた。
発表前日は中計への期待感の高まりを背景に、ソニー株は2.8%上昇したが、それが帳消しになった格好だ。

「既視感が強い」。ハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)の発表を聞いた記者やアナリストの多くはそんな印象を持った。以前から公言していたテレビとゲームの黒字化、営業利益率5%以上、ROE(自己資本利益率)10%以上という数値目標も地味で、将来ビジョンそのものが過去に耳にしたような内容だったからだ。
ビジョンよりも実行が大事
「ネットワーク経由で映画や音楽などのコンテンツを、ソニーの様々な機器で楽しめるようにする」。確かに、ストリンガーCEOが発表したビジョンは、2001年頃に前CEOの出井伸之氏が掲げていたものと似通っている。
ゲーム機の「プレイステーション3(PS3)」にゲームや映画などのコンテンツをダウンロードし、別のソニーの携帯機器に入れて持ち歩く。ゲーム事業であるソニー・コンピュータエンタテインメントの平井一夫社長の熱心な説明も、前任者である久多良木健氏のアイデアの延長線上にある。
ネットワーク重視の戦略が目新しさに欠けるという批判は、ストリンガーCEO自身も否定しない。「基本的な考え方は私がソニーに入社した1997年時点からあった。(出井さんなど)様々な人からアイデアをもらっている」。
かつてソニーは先進的なネット時代のビジョンを掲げたものの、消費者に広く受け入れられるヒット商品として具現化することに苦労してきた。フラッシュメモリーを使った携帯音楽プレーヤーや、利用者の好みを学習してお薦め番組を自動録画するHDD(ハードディスク駆動装置)レコーダーの「コクーン」が代表例だ。
「空回りしていた。正体が見えない雲にパンチを浴びせ続けることに疲れてしまった」。ソニーグループのある役員は当時をこう振り返る。
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