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第12回 発着回数3位の福岡が赤字の病理

2008年7月11日(金)

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 ゴールデンウイークが明けたばかりの今年5月6日、筆者は羽田から鳥取空港へ向かった。朝一番の午前6時50分羽田発、午前8時鳥取着の全日本空輸(ANA)便。早朝便ということもあり、空いているだろうとは思ったが、機内は予想以上に閑散としていた。166人乗りエアバスA320機の利用客は、わずか22人しかいないという。搭乗率にすると13%にしかならない。

 連休明けの早朝便とはいえ、鳥取空港のロビーは火が消えたような静けさだ。だが、地方路線においてこれは特殊ケースではない。日本全国津々浦々には、1日1~2便の赤字路線に頼りながら、細々と運営しているうら寂しい地方空港は決して少なくないのである。

人口60万人の県に2つの空港、距離は車で1時間半

飛行場分布図(東日本) 飛行場分布図(西日本)

図をクリックすると詳細な分布図をご覧いただけます。

 なぜこのような状態に陥っているのか。その大きな原因の1つが、地方路線そのものの供給過多にあると言える。簡単に言えば、空港が多すぎるのである。例えば、先の鳥取県には、鳥取と米子という2つの空港があり、その間を一般道で走っても1時間半ほどしかかからない。

 県の人口は60万人、と東京23区の大田区ほどの規模のところに、2つの空港が必要だとはとても思えないのだ。また、米子空港から西隣の島根県へ山陰道を1時間ほど走ると、そこには出雲空港がある。そこから、さらにもう少し足を伸ばすと石見空港、といったありさまである。

 こうした日本全国の空港を作ってきた原資が、前回の記事で述べた社会資本整備事業特別会計空港整備勘定、いわゆる旧来の空整特会であり、その運用については見直しを迫られている。と同時に、ここへ来て、航空各社が地方路線のリストラ策に打って出ている。

 <日本航空9205と全日本空輸9202は、関西国際空港と北海道、東北、九州などの地方空港を結ぶ路線について減便や廃止の検討を始めた。燃料価格の高騰で搭乗率の低い路線の採算が悪化し、経営を圧迫しているため。既に関空会社に対し便数の削減を打診した。7月中にも決定し、10月以降に実施する方針だ>(7月6日付毎日新聞朝刊)

 昨今の原油燃料高騰により、国内路線の減便を検討せざるを得ないのだという。地方路線の再編・縮小にあたっては、この先、国土交通省や地方自治体との綱引きもあるだろう。

羽田、新千歳、伊丹以外は赤字

 が、航空会社という公共性の強い企業といえども、企業経営という観点からすれば、遅かれ早かれ路線のリストラは避けられないのではないだろうか。一方、空港経営という観点に立った場合、国交省もこれまで不透明だった単体空港の収支を明らかにする必要性を認めている。次のような航空関係者の分析もある。

 「全国の空港について、赤字か黒字かという収支のボーダーラインを試算してみました。仮に毎年3億円から10億円ほどかかる滑走路の整備メンテナンス費用を空整特会から補填してもらうと、年間150万人の利用客でなんとか利益が出る」

 「しかし、こうした定常的な整備費を含めたコストを機体の着陸料など自らの収益だけで賄おうとすると、羽田や新千歳、伊丹の3空港以外は赤字に転落するという結果が出ています。本来、羽田―福岡などは人気路線ですから、福岡空港は儲かっているように見える。が、実はここも赤字なのです」

 日本の地方空港については、新幹線との競合関係により、これまでは東北や北陸、中部、関西など、もっぱら比較的首都圏と近い地域の路線の窮状が伝えられてきた。羽田から遠い九州や北海道などの路線ならびに空港については、ある程度安泰のように見られる傾向があったが、決してそうではないという。

コメント15件コメント/レビュー

有事の際、日本海側の空港は重要な盾として機能しなければいけない一面もあろうかと思う。航空各社に負担だけ負わす事は出来ないと思いたい。鳥取の海岸には場所によって人目が届き難い所があり、そこの入り口には、不審なゴムボートや機材を発見した時は直ちに海岸から離れ、警察に届ける事。という様な内容の立て看板が二十年以上前からある。拉致問題が騒がれるずっと前からだ。外国からの攻撃を受ける事もありうる緊張感は以前からずっとあった。やり玉に挙げられているともいえる鳥取空港は一部滑走路が海に出ている程海に近く、哨戒警備、目標との距離、避難民数等の理由で戦闘状態を想定すれば使用される事もありうる。有事に空港は幾ら在っても足りないかもしれない。使用不能にされることも予想しなければいけない。そう考えれば決して無駄ではないはずだ。ビジネスだけで空港は見れないものかもしれない。(2008/07/15)

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いただいたコメント

有事の際、日本海側の空港は重要な盾として機能しなければいけない一面もあろうかと思う。航空各社に負担だけ負わす事は出来ないと思いたい。鳥取の海岸には場所によって人目が届き難い所があり、そこの入り口には、不審なゴムボートや機材を発見した時は直ちに海岸から離れ、警察に届ける事。という様な内容の立て看板が二十年以上前からある。拉致問題が騒がれるずっと前からだ。外国からの攻撃を受ける事もありうる緊張感は以前からずっとあった。やり玉に挙げられているともいえる鳥取空港は一部滑走路が海に出ている程海に近く、哨戒警備、目標との距離、避難民数等の理由で戦闘状態を想定すれば使用される事もありうる。有事に空港は幾ら在っても足りないかもしれない。使用不能にされることも予想しなければいけない。そう考えれば決して無駄ではないはずだ。ビジネスだけで空港は見れないものかもしれない。(2008/07/15)

空港問題で今回記事の中に含まれていない視点として、「”利用者の要求”と”インフラ及び航空会社”との間の格差に対する対応策をどうするのか?」という点を指摘したい。低コストで早く移動できるならば、もっと飛行機に乗って、東京やその他の場所に移動する希望を持つ人は、潜在的に存在しているのに、現在の負の連鎖(就航便が少なく不便であり、さらに運賃も割高のため、結果として利用者が増えず、空港の存在価値が低下)を改善させる可能性が低下する部分を強調してしまえば、空港を廃港するという視点の選択に妥当性があるように思えるかもしれません。しかし、現在のように地方では十分な医療が確保できず、都会に行くしかないような状態や近年多発しつつある地震発生時に、寸断された道路により緊急物資輸送が困難な場合の防災拠点としての効果などの「採算だけでは図れない部分の必要性」も評価すべきです。また、「採算がとれる航空機」の採用と首都圏の空港枠拡大の追求(首都圏新空港や横田基地民間空港化)に関して国民が納得する方策が提示されなければ、儲かる路線のある空港だけが残され、地方に居住する国民は不便な生活で我慢せよと言われているような処置は、地方の経済や生活を凋落させる事態になると考えます。財政的理由と燃料高騰などで、利用されない空港は不要という意見には、「地方切り捨て」の論理が強すぎると思います。(2008/07/14)

借地代を含めて福岡が赤字だというなら、羽田・伊丹も赤字ですよね?運輸政策研究機構発行との違いはターミナルビルの収益ということでしょうか?長崎・鹿児島・宮崎空港は基本施設段階で黒字なのに業界分析では赤字になっているのはなぜなんでしょうか?ますます謎が膨らみました。それもこれも個別の収益が発表されないからなんでしょうけど(2008/07/12)

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