「時事深層」

高級ホテルやオフィスに激震

米金融危機が2巡目に、日本拠点のリストラも加速

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2008年7月23日(水)

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 今年4月。米国系の証券会社で不動産の証券化関連の部署に所属していたAさん(31歳)は朝、いつものようにデスクに座り、パソコンを起動させようとした。ところが、何度暗証番号を打ち込んでも、システムに入れない。不審に思いシステム担当者に電話すると、要領を得ない説明を繰り返された。やがて、上司に別室に呼び出された。

 「その時やっと、リストラだと気づいた。システムの人たちは前の晩から知っていたんだろう」

 昨年夏にサブプライムローン問題が表面化して1年。米欧の巨大金融機関が多額の評価損失の計上に苦しむ中、各機関の日本拠点でも人員削減や事業撤退・縮小の動きが急速に広がっている。

「ボーナス提示金額1円」

 Aさんだけではない。「年に1回支給されるボーナスの提示金額が1円だった」「内定をもらっていたが、入社の数日前に取り消された」「リストラと悟られないよう社外には『体調不良で長期休暇中』と説明されている」…。人員削減を巡るエピソードは枚挙に暇がない。

金融機関のリストラが直撃サブプライム問題と国内不動産の関係

 米欧の大手証券の日本拠点ではおおむね1200〜2000人程度の人員を抱えるが、今回のリストラで5〜10%の削減を目指すところもあるようだ。米モルガン・スタンレーの東京拠点は今年に入り2回にわたって、証券化関連で60人前後を削減。リーマン・ブラザーズは6月に子会社が手がける住宅ローンの融資業務からの撤退を決めたほか、日興シティグループ証券は従業員の約1割に当たる170人前後の人員削減を進めている。米JPモルガン・チェースによる買収が決まった米ベアー・スターンズ。その東京拠点でJPモルガン東京拠点への移籍が内定したのは200人中、約80人だけだ。

 年明けから始まったリストラの第1波はサブプライム問題の発端となった証券化関連部門が中心だったが、現在はM&A(合併・買収)助言などを手がける投資銀行部門や決済、システムといった後方支援部門にまでじわじわと広がっている。

 外資系を中心に金融機関向けの人材紹介を手がけるエグゼクティブ・サーチ・パートナーズによると、日本の外資系証券や銀行で働く人口は推定4万〜5万人。同社ではそのうち1000〜2000の人員が既にリストラや希望退職などで異動したと見る。「優秀な人材の引きは依然強いが、去年までと違ってメガバンクの需要も減っており、受け皿に乏しい」と小溝勝信代表は言う。

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著者プロフィール

蛯谷 敏(えびたに・さとし)

2000年、日経BP社入社。通信業界誌『日経コミュニケーション』記者を経て、2006年より日経ビジネス記者。情報通信、ネット、金融、不動産、政治、人材など色々担当。「一極集中」から「多極分散」へと移り変わる様々な事象をテーマに日々企画を考えている。



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