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小泉政治が残したベンチャー負の遺産

改良主義的経済政策への批判

  • 濱田 康行

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2008年7月29日(火)

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 今年に入り、新規上場企業が激減している。

 つい数年前まで小泉純一郎政権のもとで、民営化や規制緩和を進めて、市場原理を追求した。その中から、“ヒルズ族”と呼ばれるITベンチャー振興や大学発ベンチャー計画が生まれてもきた。

 私は小泉政権を「改革」「改良」旗印にする改良主義的政権と呼ぶ。政権が残したひとつの遺産がある。それは、ベンチャー企業を育てようという運動である。彼らは、光の方向をみて単純にベンチャー育成を志向した。頭の中にはシュムペーターの創造的破壊という言葉が浮かんでいたに違いない。

 ベンチャー志向は、既存の大企業体制への失望から生まれたという点で、陰が光を生んだ図式があてはまる。しかし、光のベンチャー運動にもちゃんと陰はある。それは一方の極に成功したベンチャーがあれば、他の極にそれに吸着しようとする一群が育つことである。ベンチャー運動もまた資本主義と同様に創造性と寄生性の相互運動として展開した。だからそれは時に輝かしく、そして時に陰鬱であった。この不可分のふたつの面を、一個の個人が見事に体現して見せてくれたものがライブドアの堀江貴文・元社長(ホリエモン)だろう。いまでは彼を追い落とした側が正義の表情を保っているが、果たして彼らは光の側にいるのだろうか。参院選挙に出馬したホリエモンの応援演説をしたのは時の総理だった。

 ベンチャーブームは、ついでに言えば、ホリエモン事件をきっかけに急速に萎んだ。もともと国策が支援した運動だけに、人為的なブームが何度かつくられた。しかし日本のベンチャー運動は第3次、あるいは第4次ブームを最後に日本という舞台から消え去ろうとしている。この反転の真の背景は、日本の景気回復が大企業の復活によってなされたという旧体制の自信である。大方は労働力を削減するというリストラでの復活だから胸を張れるものではないが、景気回復はホンモノで、もはやベンチャーなどというものに期待しなくてもよくなった。少なくとも政策の大筋を決める人々はそう考えたのだろう。しかし、寄生性は独占化した資本主義のもとで著しくなる。寄生している側がいかに活気を取り戻しても、それが資本主義の創造性を再生させることはない。

 ベンチャーキャピタル(VC)、つまりベンチャー企業に資金供給する機関も急速なベンチャー離れを起こしている。この傾向は、欧米で先行して生じ、いわゆるPE化(Private Equity=投資ファンド)として知られているものである。

 ベンチャーはそう簡単に発生しない。また育成に時間がかかる。そして一件当りの投資額は大きくない。しかし世界のVCファンドが集めている資金は先進国と石油産出国の金余りが反映して巨額である。日本のベンチャーキャピタルは1000億円のファンドをいくつも組成したが、これが一件一億円程度のベンチャー投資で消化できるはずがない。彼らは、PEという言葉を輸入し、彼らが実際に行っている様々な投資活動にこの言葉を冠したのである。

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