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米国がサブプライム危機で「規制強化」に動くワケ(下) 

エドワード・リンカーン米ニューヨーク大学教授 日米経営経済研究所長

  • 大豆生田 崇志

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2008年8月1日(金)

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 信用力の低い個人向け住宅ローン(サブプライム)問題に端を発した金融危機に悩む米国。米政府系住宅金融会社の経営不振も表面化し、米国民の生活に大きな陰を落とす。
11月の大統領選挙にも影響が及ぶのは必至だ。
(聞き手は日経ビジネスオンライン記者、大豆生田崇志)

NBO サブプライム問題による金融危機は、米大統領選に影響を与える論点になりそうか。

リンカーン教授 特に米国で公共政策に興味を持つ学者らは関心が高く、とりわけ大統領選で何をすべきか議論になっている。

 明らかに対照的なのは、ジョン・マケイン米共和党候補とバラク・オバマ米民主党候補の主張だ。民主党は基本的に、住宅ローン問題の被害を受けて支払い不能に陥ってしまった貧困層に対する支援策が必要だという立場だ。何の支援もなしに、家という家が次々と差し押さえられて空き家になったボルティモアのような地域が出てくるのは、社会問題だと主張している。町中にガラ空きの家が並んでいるのは、社会にとって良くない。何か対策を打つべきだと。

 対する共和党のマケイン候補は「何が問題なのか。たとえローン返済ができなくなっても、それを分かっていて買ったのだから、彼らの失敗だ。支援の必要はない」と主張している。意見の相違は鮮明だ。つまり、これは規制を強化するべきか、すべきでないかという論議というよりも、金融市場によって痛めつけられた人々を救うかどうかの問題だからだ。それだけに議論は「我々は何をしてしまったのか、何をすべきか」という広範な観点から、さらに政治的な議論になる。

NBO 政治的な議論の背後にいる経済学者の間では、大論争になりそうだ。

リンカーン教授 こういう表現の方が良いだろう。60、70年代に立ち戻れば、保守的なシカゴ学派からリベラルな経済学者を含めて、米経済には過剰な規制があるので規制緩和は良いものだという合意があった。

 私がいたリベラルな経済学者が多かったブルックリン研究所も、保守的な研究機関も、金融市場や通信、運輸業界での規制緩和は必要だと考えていた。ほとんどの経済学者は、規制緩和には恩恵はあると考えていた。航空運賃は下がり、通信料も技術革新によって下がった。それと同じモデルが金融業界に適用されて、おおむね評価は高い。

 しかし、これまで起きた金融危機、例えばヘッジファンドやLTCM問題に加えてサブプライム問題が起きるにつれて「待てよ、一体何が起きているんだ。どこか行き過ぎがあったのか、間違っていたのではないか。慎重に規制緩和がされなければ問題が起きる前に再規制をしなければならない」と、経済学者も言うようになった。

 もちろん、まだ経済学者の間でも考え方は分かれているし、中にはもっと規制緩和が必要だとか、何もする必要はないと考える者もいる。それが今起きていることだ。

日本の消費者金融問題と似ている点も

NBO 日本でも似たような議論がある。特に、貸金業法の上限金利や、派遣労働に対する労働規制では論争がある。

リンカーン教授 現在の日本で消費者金融業界で起きていることも興味深い。なぜなら、日本の消費者金融業は、ほとんど規制のない業種だからだ。1954年に出資法が施行された当初の上限金利は実に109.5%。とても信じられない金利だ。私が思ったのは「一体どこの誰が、こんな金利で借りるのか」。そんな市場で借りるのはギャンブルや競馬のためだろう。

 しかも面白いことに、90年代に米国企業も、日本の消費者金融の市場に参入した。2000年に今の29.2%になり、その金利で貸し出すようになったのは大きな進歩だった。

 私の理解では、彼らはギャンブルをするような人には貸さないようにしていたと思う。彼らは、ちゃんと貸し出しや返済について基準を定めて、与信枠のない借り手を相手にビジネスをしたいと言っていた。日本にある米国系銀行から聞いた話では、彼らはこれまで借り手の対象にされていなかった人々に、プロの手法を持ち込みたいと言っていた。それは良いことだろう。

 ところが2006年に上限金利が導入されて、市場から追い出された。2006年秋に金利を規制する話を聞いたときには、国会が貸金業法を通そうとしていた。米国銀行のCEOは「あまりにひどい」と、消費者金融の市場は壊滅状態になると嘆いていた。実際、その銀行は打撃を受けて撤退したと聞く。

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