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技術最高職が語る「トヨタはこう人を育てる」

部下をきちんとフォローした故・大野耐一氏の育て方を継承せよ

2008年8月4日(月)

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 トヨタ生産方式(TPS)は、製造業をはじめ様々な業界に業務改善手法として広く取り入れられている。そのTPSを確立した故・大野耐一氏(元副社長)に直接教えを受けて学び、次代に伝えられる人材は今やトヨタ社内でも経営幹部クラスの一握りしか残っていない。

 一方では、グローバル化や労働管理のコンプライアンス強化など、生産現場を取り巻く状況が大きく変化している。ともすればTPSの表面的な部分だけが受け継がれ、根本的な思想の伝承がおざなりになる可能性も増している。

 そこでトヨタ自動車で技術・生産を極めた人だけに与えられる技術最高職「技監」を務める林南八氏に、大野氏の思い出を振り返りつつ、人材育成の危機感とあるべき姿を語ってもらった。

(聞き手は西 雄大=日経情報ストラテジー

――1970年から大野氏らとともにトヨタ生産方式の確立に携わってきた。大野氏はどのような上司だったのか。

林:若かりしころ、大野さんは本当に怖かった。だが、考える人間を育てていたと思う。答えは絶対に言わなかった。宿題を与える時は、正解を知っていても、失敗するのを知らん顔して見ていた。

トヨタの最高技術職を務める林南八技監

トヨタの最高技術職を務める林南八技監

 大野さんは、我々に無理難題を言った瞬間から、ご自身も考えていた。だから翌日必ず見に来られた。「何じゃ、これは」と言って怒られることもあった。大野さんから指摘されることで、視点が欠けていたことに部下は気づく。これによって腹に落ちる。本当に考えさせて悩ませてから怒ることで部下に腹落ち(心のそこから理解する)させていた。

 人材育成は、体力がいる。課題を与えっぱなしでフォローをせず、3カ月後に会議で罵倒するのは「いじめ」と言うんだと話している。やっぱり具体的な課題を与えて、やり切るまで丁寧にフォローをしなければならない。

 最近、非常に気になっているのは、マニュアルや標準化が重視され過ぎている。あまりにも生産拠点が急に拡大し過ぎているので、世界レベルで底上げをやっていくためにやむを得ない面もあるだろう。

 それに、成果を出すのにスピードを要求されると、失敗してもリカバリーできる小さな課題しか与えなくなり、答えをつい教えるようになる。考える人間を育てることをしっかり継承しなければいけない。大野さんから我々は「目で見るな、足で見ろ。頭で考えるな、手で考えろ」「数字の読めないやつは話にならない。数字が見えない現場もいかん。だけどな、数字しか見ないやつが一番いかん」ともよく言われた。

――考える人材を育成するためには、管理職層はどのように振舞うべきなのか

林:毎回というわけにはいかないが、10回に1回でも抜き打ちでフォローしなくてはならない。

 抜き打ちのフォローについてはこんな思い出がある。昔、大野さんへ報告に行って「自分で見たのか」と聞かれ、思わずはいと嘘をついてしまったことがある。本当は現場からの報告を元に、提出しているだけだった。すると、「今から現場に行くから現物でもう一度説明してくれ」と言われてしまった。それで大野さんには二度といいかげんな報告はできないと感じて、報告するたびに必ず現場を見て、納得のいく内容しか報告しなくなった。

 結果を急いでたくさんの課題を部下に課すなということも若い幹部には話している。大野さんは、現場に来ると1個しか言わず、翌朝には見に来てフォローしてくれた。怖かったけど、見てくれているという安心感があった。

 接し方は人それぞれ個性に合ったやり方があると思う。大野さんはとにかく現場をしかる人だったが、張(富士夫)会長は優しく持ち上げながら指導するのが上手だった。

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「技術最高職が語る「トヨタはこう人を育てる」」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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