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おしりの高さ1mmが分ける命運

技術フロンティア (2)自転車

  • 江村 英哲

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2008年8月8日(金)

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自転車は、選手の適性や好みに対し、いかに適合させるかがカギに。選手が語る「感想」から1mm単位で各部を調整する手法が生み出された。北京五輪から正式種目となる「BMX」でも日本ブランドが注目されている。

 埼玉県上尾市にあるブリヂストンサイクルの研究所で、炭素繊維を使って重量をわずか7 kg ほどに抑えた自転車が開発された。北京五輪の自転車競技向けに開発された、「トラックレース」用の自転車である。

 これまで同社はトラックレースや一般道を走るロードレース、マウンテンバイク競技用の自転車を手がけ、その過程で得られた技術の蓄積を市販の自社ブランド品の性能向上に生かしてきた。そして、北京五輪を契機にさらなる進化を目指す。ポイントは、千差万別な選手の嗜好や身体能力に極限まで合わせること。その研究が始まったのは2007年春のことだった。

1mmの違いが疲労度を左右

 トラックレースは1周数百mのコースを周回してスピードを競う。選手は変速機やブレーキのないシンプルな自転車を使用し、最高時速は約80kmに達する。

 板張りのコースやコンクリートで舗装された路面を走るトラックレースは、車両が軽いほど有利と言われる。一方、加速する時に選手が加える力に耐える車体の強度も求められる。

 1000分の1秒を競う世界なので、選手個人の力を最大限に引き出す自転車の開発が重要な意味を持ってくるわけだ。ブリヂストンサイクルは、10年前からこうした特殊な自転車を日本人選手に向けて供給し続けてきた。

 その中心的役割を担ってきた同社の研究所の中には、様々な計測装置が所狭しと並んでいる。

写真:選手の体格やこぎ方の特徴などを計測する装置。

 ローラーの上で自転車をこいでもらい、選手が消費した酸素の量や筋肉の疲労を測定する装置がその1つ。また、前後左右4方向に設置されたカメラで選手の動きを立体的にとらえ、体の部位ごとにデータ化してこぎ方の癖や力の加え方を調べる計測器もある。

 選手の体に合わせてフレームの長さやサドルの高さ、ハンドルの位置などを1mm単位で変えてテストする装置も設置されている。試行錯誤を繰り返して、こぎやすさや疲労度の低いパターンを選手に見つけてもらうためだ。

 「一般の人は毎日自転車に乗っていたとしても5mmくらい変わらないと気がつかない」とブリヂストンサイクル設計部の中西安弘氏は言う。しかし、長い日には8時間も自転車に乗って練習する競技者は、長さや高さが1mm違うだけで違和感を覚え、五輪選手クラスになると勝敗を左右するタイムロスになる。競技者ごとの最適解を見つけるため1mmにこだわっている。

「感想」から処方箋を類推

 歴史をひもとけば、フレームのパイプがアルミ素材から炭素繊維の素材に変わるなど、技術的に大きなブレークスルーはいくつかあった。しかし、部品や部材の新しい要素技術は既に出尽くした感がある。

 そこで、開発に当たって最も重要な課題となってきたのが、自転車のフレーム特性と選手の能力を合わせる「マッチング」である。

 まず、技術陣が各種目に合った大まかな自転車の仕様を決める。自転車の骨格部分であるフレームは8つの部位で構成されている。この部材の組み合わせを決めることが第1段階だ。

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