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トヨタ生産方式の真髄を訊く--関東自動車工業・内川 晋相談役

8時間で車を作る目標掲げ、全社工程の表標準を作成

2008年8月8日(金)

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 トヨタグループの1社、関東自動車工業の取締役会長を2008年6月に退任した内川晋相談役は、トヨタ生産方式(TPS)を生んだ故・大野耐一氏(元副社長)から直接教えを受けた直弟子の1人である。大野氏に学んだことを振り返り、これからの関東自動車の方向性を語ってもらった。(聞き手は西 雄大=日経情報ストラテジー

――大野耐一氏から学んだことのうち、何を継承しようと考えているか。

内川: 大野氏は1000年続く会社の仕組みを作ったと考えている。タクトタイムと車両の価格は我々ではなくお客様が決めるものだ、ということを教わった。お客様が我々の仕事の仕方(タクトタイム)を決められるという原点を大事にして、若い人たちに教えなければならないと考えている。

関東自動車工業の内川晋相談(写真:稲垣 純也)

関東自動車工業の内川晋相談(写真:稲垣 純也)

――1000年続く仕組みとはどのようなものか。

内川:現状を否定することをやり続ければ、会社は1000年続く。今、生産現場に話しているのは、朝に鉄板の状態で夕方には最終検査を終えてトヨタ自動車に納品するにはどうすれば良いか考えよと伝えている。8時間で自動車を完成させるには、うまく回っているようにみえる現状を否定して考えるしかない。ちょっとずつ課題点を現場に見せていかなくてはならない。現状を肯定したら何も出てこないのだ。

 問題は部門間のつなぎによるところが大きい。「表標準」と呼んでいるが、各部門で工程を顕在化するためにすべて書き出す作業を進めている。模造紙が数十枚も連なるほどの、全社の表標準が出来上がりつつある。この取り組みによって、ダブりや切れ目が見えてきて問題点が顕在化する。複数の部門で、同じことをやっているのならやめ、同時並行で進められる工程も見えてくる。こうした取り組みを通じて、強化していきたい。

――改善を推進する人材をどう育成するべきか。

内川:人は、結局のところ「知識・意識・知恵・行動」の4つの組み合わせだ。知識と行動と意識が統合されて、知恵が生まれると私は考えている。

 まず問題をどんどん顕在化させる。顕在化させることで悩む局面にぶつからせると、知恵を出すようになる。見えてもいない潜在的な問題をいきなり解決できる人なんていない。局面にぶつかったら、みんな何とかしようとする。そして行動を起こす。行動力の強弱は意識の持ち具合によって決まる。意識と行動はらせん状になっている。意識が強い状態で行動することで問題を解決できたら、その人は意識はさらに強くなる。次の問題に取り組む際には、行動力はより強くなるといったようにスパイラルアップできる。

 意識は大事だが、現場には「勉強しろ」「知恵を出せ」とも口を酸っぱくして言っている。知識を学ばなければ、知恵は出てこないからだ。「高い意識を持って行動せよ」と現場に投げかけるだけでは、具体的に何も生み出せないし人は変わらない。

 上司の役割は、まずは部下を困難な局面にできるだけ多くぶつけることだ。そして何とか脱出しようともがいている時に、ちょっとだけ後押しができるのが本当に良い上司である。この「ちょっとだけ」というさじ加減が難しい。壁にぶつけるだけだと、部下は挫折してしまう。かといって、手取り足取り教えるのでは話にならない。もどかしくなることを我慢するのが上司の役割。上司が自らやってしまうほうが早いに決まっているが我慢して見続けなければならない。

 急がば回れといった慣用句があるように、結局早く上司が手を差し伸べることは、人材育成の早期化にはつながらない。ほんのちょっとだけサポートをしてやることが、上司の大きな役割なのだ。

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「トヨタ生産方式の真髄を訊く--関東自動車工業・内川 晋相談役」の著者

西 雄大

西 雄大(にし・たけひろ)

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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