「閉ざされた日本の空」

第16回 3年連続満足度1位、仁川の課題

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2008年8月22日(金)

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 成田空港から2時間半。韓国・ソウルの仁川国際空港は、東京から最も近い海外の空港である。2001年3月のオープン以来、飛躍的に業績を伸ばしてきた。海運の世界でかつて世界一を誇ってきた日本の座を韓国釜山港に奪われたように、空輸貨物の取扱量で成田空港を抜き去り、世界2位になったのは知られているが、同時に旅客路線も年々拡充してきた。仁川空港は成田にとって、最も手ごわいライバルと評される。

 ソウル市内から西へ52キロに位置する。永宗(ヨンジョン)島と龍遊(ヨンユ)島の間の浅瀬を埋め立てて整備された24時間空港だ。空港の敷地面積は1174ヘクタール。この7月、3本目の滑走路が供用されたばかりである。

仁川国際空港

 おかげで、3000万人程度だった空港利用者の処理能力は4400万人に増え、発着枠も24万回から41万回と大幅に能力アップした。その処理能力は、いまや2010年に再拡張が予定されている羽田空港並みだ。前回に紹介したタイのスワンナプーム国際空港より、さらに一歩進んだ国際基幹空港と言える。

当局、空港、航空会社の三位一体

 「韓国は人口もさほど多くない。国の規模も大きくないため、国内の航空需要による空港のハブ化は難しい。そのため仁川空港は、海外に門戸を開いたアジアのハブ空港として育成しようとしてきました。とりわけ、日本や中国といった周辺国において、国際空港として中心的な役割を果たせるよう、空港を拡張してきました」

 「また、海外の航空会社により多く就航してもらうためのハブ化対策として、着陸料も低く抑えています。着陸料を安くすることにより、(海外空港との)路線のネットワークが構築され、利用者の利便性が高まる。仁川からフィンランドのヘルシンキ空港やニューカレドニアなどへの新しい路線も開拓してきました。航空当局、空港公社、航空会社の三位一体になって仁川空港の発展を支えていると自負しています」

 日本の国交省にあたる韓国国土海洋部の金湘南道課長は、こう胸を張る。韓国は、アジアの中でもとりわけ積極的にオープンスカイ政策に取り込んできたと言われるが、その象徴が仁川空港だという航空関係者は多い。世界の空港の会員組織であるACI(国際空港評議会)が行っている「空港満足度調査」で3年連続世界一に輝いている。

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著者プロフィール

森 功(もり・いさお)

ノンフィクション作家。岡山大学文学部卒業後、新潮社勤務を経て独立後、政治経済事件と幅広い取材・執筆活動を展開。代表作に『古賀誠研究』『日本道路公団の闇』『官邸のラスプーチン「飯島勲」研究』(いずれも「週刊新潮」)。『JAL大激震』(週刊文春)、近著『ヤメ検――司法に巣喰う生態系の研究』(「月刊現代」)が2008年第14回「雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した。主な著書は、『黒い看護婦』(新潮社)、『殺人者はそこにいる』(新潮社共著)『サラリーマン政商 宮内義彦の光と影』(講談社)。



このコラムについて

閉ざされた日本の空

 世界の航空ビジネスが、大きく変わろうとしている。米国やEU(欧州連合)は、「オープンスカイ協定」の下、原則として空港や航空会社が自由に路線を設定できるようになった。アジアのハブを目指すシンガポールも米国や英国などとオープンスカイ協定を締結している。その一方、アジアの玄関口を自認する日本を見ると、成田、羽田のキャパシティ不足が続き、他国とオープンスカイ協定を結んでいない。日本の空港、そして航空会社は、ボーダレス化する航空ビジネスの中ではたして競争力を持てるのか。

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