「閉ざされた日本の空」

最終回 需要生まない空港は廃止も

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2008年8月29日(金)

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大阪国際空港(伊丹空港)

大阪国際空港(伊丹空港) ©Getty Images DAJ

 「伊丹空港の廃止も含めて検討し、きちんと方向性を出さないといけない」

 さる7月31日、大阪府の橋下徹知事が予算陳情のために訪ねた財務省で記者団にこう話した内容が物議をかもしている。かねて苦戦が伝えられる関西国際空港の援護射撃なのか。あるいは単に伊丹空港に関する自治体負担に対する抵抗だろうか。

 常日頃から極めて実現の難しい政策をぶち上げる橋下知事にとって、これも独特の観測気球には違いないだろうが、問題が問題だけに、航空関係者の胸を衝く発言だったと言える。無駄な空港の廃止論もあながち絵空事ではない。空港を取り巻く環境は、それほど急激な変化を余儀なくされているのである。

大幅な路線見直しに踏み切るJALとANA

 航空界の変化は、国交省の政策や航空会社の運営にも如実に表れている。例えば羽田空港の国際化については、本連載を開始した当初の4月、国交省は2年後の再拡張による増枠は年間3万回としていたが、わずか1カ月足らずの間に6万回に増やすと方針転換した。

 また、原油燃料の高騰が航空会社の経営を直撃、日本航空9205(JAL)と全日本空輸9202(ANA)が揃って、国内外の大幅な路線の見直しを発表してきた。JALは今年度内に21路線、ANAも今下半期に11路線の減便・廃止を決定した。

 結果、国内では、関空をはじめ福島や仙台といった赤字空港の路線が廃止され、このままでは経営の成り立たない空港が目白押しになりそうな状況だ。全国津々浦々に97もある日本の空港再編時代に突入した、という声が上がっている。橋下知事の衝撃発言には、そうした日本の苦しい空港事情が背景にある。

 それだけに、単なる仮定の話とは受け取れないのである。

 これまで見てきたように、日本の地方空港は近隣のアジア諸国との便を結んで活路を見いだそうとしてきた。韓国の仁川国際空港路線や台湾の桃園国際空港を結ぶチャーター便の開設などがその典型だ。最近では、マレーシアの格安航空会社「エア・アジアX」が、羽田など8空港を対象に路線開設の協議に入っているという。

オープンスカイが根底に

 が、もともと就航数の少ない地方空港にとっては、海外の航空会社が路線を1つや2つ開設したとしても、それで空港経営を十分に賄えるわけではない。燃料高や世界経済の減速の影響を受けて、むしろ今は、運航数の縮小や撤退を持ち出してくる。

 こうした寒風が吹き荒ぶ中で、日本の空港は逆境に立ち向かうだけの準備を整えているのか。この連載で何度も指摘してきたように、世界の航空界には米国が進めてきたオープンスカイ政策が広がってきている。

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著者プロフィール

森 功(もり・いさお)

ノンフィクション作家。岡山大学文学部卒業後、新潮社勤務を経て独立後、政治経済事件と幅広い取材・執筆活動を展開。代表作に『古賀誠研究』『日本道路公団の闇』『官邸のラスプーチン「飯島勲」研究』(いずれも「週刊新潮」)。『JAL大激震』(週刊文春)、近著『ヤメ検――司法に巣喰う生態系の研究』(「月刊現代」)が2008年第14回「雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞した。主な著書は、『黒い看護婦』(新潮社)、『殺人者はそこにいる』(新潮社共著)『サラリーマン政商 宮内義彦の光と影』(講談社)。



このコラムについて

閉ざされた日本の空

 世界の航空ビジネスが、大きく変わろうとしている。米国やEU(欧州連合)は、「オープンスカイ協定」の下、原則として空港や航空会社が自由に路線を設定できるようになった。アジアのハブを目指すシンガポールも米国や英国などとオープンスカイ協定を締結している。その一方、アジアの玄関口を自認する日本を見ると、成田、羽田のキャパシティ不足が続き、他国とオープンスカイ協定を結んでいない。日本の空港、そして航空会社は、ボーダレス化する航空ビジネスの中ではたして競争力を持てるのか。

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