文部科学省やIHIなどが官民で共同開発する中型ロケット「GX」プロジェクトが暗礁に乗り上げている。今後5年間で1000億円規模の追加投資が必要になるため、文科省内でも「中止やむなし」との声が出ているが、GXを情報偵察(スパイ)衛星の打ち上げ用ロケットとしたい自民党の防衛族議員の思惑も絡み、簡単には決着しそうにない。次世代ロケットを巡る混乱が長引けば、業界内に亀裂が広がり、宇宙大国への道も遠のきかねない。

IHIが中核となり開発を進める中型ロケット「GX」のイメージ図
「GXロケットの開発には官民で700億円程度が費やされた。あと1000億円程度の資金を出していただければ、日本の安全保障に重要な役割を果たせるロケットを実用化できる」。GXの開発を主導するIHIの川崎和憲・宇宙開発事業推進部長はこう語る。
2002年に本格的な開発が始まったGXは上空300km程度の低軌道に、1.5トン前後の中型衛星を打ち上げる。1段ロケットには米国のロッキード・マーチンとボーイングの共同出資会社であるユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)の大型ロケット「アトラス5」の1段を使う。2段ロケットには低コストのLNG(液化天然ガス)を燃料としたエンジンを採用する。
ただ、文科省所管の独立行政法人、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が責任を持つ世界初のLNGエンジンの開発に手間取り、当初予定の2005年度の打ち上げが2011年度にずれ込んだ。今年初めには400億円を投じた民間側が政府側に今後の開発費の全額負担を求めたことから、大騒ぎになった。文科省の宇宙開発委員会の小委員会で7月末まで事業継続の是非が議論され、「GXは(税金の無駄遣いとして猛批判を浴びた)新銀行東京のようだ」などの批判が続出したが、文科省は自民党推進派の逆鱗に触れることを恐れ、結論が先送りになった。
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