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福田首相、「安全・安心」という置き土産の罪

  • 山岡 淳一郎

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2008年9月4日(木)

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 戦中、戦後の動乱期はともかく、二代つづけて「お坊ちゃま首相」が政権を放り出すのは先進国にあって前代未聞だろう。国会が二世、三世議員のたまり場となり、政治の家業化が進むにつれ、政界の劣化も甚だしい。政治家の専門性が薄れ、選挙で勝てそうな「顔」だけが重視される。政党がお坊ちゃまを公認したがるから、選挙のたびに彼らはシロアリのように増える。次も自民党の総裁はお坊ちゃまになりそうだ。劣化は止まらない。では、こらえ性のないお坊ちゃま政治の先に何があるのか? 

 官僚支配と官製不況である。昨年、福田政権が発足して間もなく、わたしは当サイトに「福田首相、住宅政策にご注意!」というコラムを書いた。「年金・医療・福祉」や「格差対応」など難問山積するなか、国民生活の「安全・安心」を強調する福田政権の隠しダマは「住宅・建築政策」と見た。福田首相は、所信表明演説で「住」に二度も言及し、約6900字の演説稿のうち「住」関連に300字以上を費やしていた。近年の首相演説では異例だった。これは、福田氏が自民党政調時代にまとめた「200年住宅ビジョン」が背景にある。コラムでは、その「やる気」に期待しつつも、国交省の官僚の掌のうえで踊らされないよう「ご注意!」を促した。

 ところが突然の退陣だ。踊らされるどころか、これからというときに舞台から飛び降りちゃった、ように見える。

「安全・安心」の錦の御旗を手渡してしまった

 国交省の官僚たちも一様に「こまったなぁ」と渋面をつくっているが、内心、ほくそ笑んでいるに違いない。「耐震偽装事件」から3年、福田首相が残してくれた「安全・安心」の御旗を掲げれば、なんでもできる状況が続いているのだ。

 たとえば昨年の建築基準法の改悪で、建築確認制度が煩雑な手続き主義に陥った。本質とは関係ないチェックに時間とお金がかかり、新築着工がストップ。官製不況で建設・不動産会社がバタバタと倒れている。サブプライム問題で投資ファンドが建設業界から逃げ出したこともあり、地方のゼネコンやディベロッパーは崖っぷちに追い込まれた。コストダウン競争で、現場は工期、人員圧縮で欠陥が生じる。確認の手続きを厳しくしても、建築は現場が命。施工過程で手抜きとなる。一方で大ディベロッパーが開発する大型物件は、法の網をくぐって建築確認をフリーパスのケースもあるという。

 国交省は、明らかに建設業界をフルイにかけている。資本力のないものは去れ、である。

 「安全・安心」は、いわば絶対善だ。誰も文句はいえない。官僚にとってこれほど美味しいものはない。来年は「安全・安心」を錦の御旗にさまざまな建築関連法が施行される。「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保法)」もそのひとつだ。

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