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新政権、求められる構造改革と“軍事大国化”(下)

  • 大豆生田 崇志

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2008年9月22日(月)

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 ――  総裁選には5人もの候補が登場しました。政策的な差はどれほどあるのでしょうか。

 渡辺 5人の候補に加え、民主党の小沢一郎代表には、どんな形でも政権を取ったら米国に対する国際協力はきちんとやらなければならないという点では一致しています。改憲まで突っ走るか、テロ新法止まりか、恒久派遣までいくのかという違いだけです。手直しは必要でも、とにかく消費税も取らない、構造改革もやめるという人はいません。

渡辺 治(わたなべ・おさむ)氏
一橋大学大学院社会学研究科教授
 1947年生まれ。東京大学法学部卒、東京大学社会科学研究所助教授を経て、1990年から一橋大学教授。著書に『安倍政権論』(旬報社)など。

 財界や米国は、国民には接していないので急進的改革をやれと主張します。しかし日本の場合、今の局面では社会的破綻の度合いが大きいので、このまま突っ走れるかという不安はあります。ある程度の手直しをしないと進めないという機運が強く、国民に近い政治家であるほどできない。

 選挙で勝たないといけない小沢代表は、農家の戸別所得補償まで言い出しました。麻生太郎自民党幹事長も与謝野馨経済財政担当大臣も、地方問題を重視する。選挙に勝てないし、総裁選で地方票も取れないからです。

 小池百合子前防衛大臣らは基本的に勝つ気はなく、財界や米国の圧力を念頭に置いてできるだけ広く議論するということでしょう。地方にメッセージを出すには、どうやって構造改革をある程度止めるか言わないといけないのに、いずれも抽象的で触れていません。総選挙では消費税も自衛隊の海外派遣も絶対言い出せないので、総裁選で言うのが重要なのです。

 そういう意味では、総裁選は自民党の生存競争のような面がありますが、華やかにやるという意味はあります。そう考えると5人も立候補した理由が政策的に説明できると思います。

 構造改革を急進的に実行する案も含め、多様な政治勢力がいろんな形の政策を出すと、今までの2大政党政治のイメージではイエスかノーだけだったのが、微妙に差異のある政策が並びます。ほかにやることがあると気づいてしまい、よけいに選択肢を限る方法が無理になっているのです。

旗印のない民主党

 ――  問題は、この後に予想される総選挙の結果次第となりますね。

 渡辺 総選挙では本質的な問題はあまり議論されないと思います。ただ、与党と民主党のどちらが勝つかによって、2つの課題を今後どうするかターニングポイントになると思います。

 まずは自公与党が多数を取れるかどうかで違います。取った場合は確実に参議院の改変が起きます。とにかく衆院選で政権を取れば、2つの課題を絶対にこなさなければなりません。最初にテロ新法、それに構造改革の手当てのため公約した緊急経済対策を進めなければなりません。

 すると財源をどうするかという問題が出るので、税制改革をすぐにやらなければなりません。恐らく自公が勝った場合は、参議院を改革して民主党を割ってとにかく衆参両院で多数派を作って突破するでしょう。

コメント16件コメント/レビュー

政策云々の議論も十二分に必要ですが、その土台となるべき日本社会の精神性を議論する必要があるように思います。例えば法人税を下げたとしても売るべき日本人の精神性や民族性が無い現状ではグローバル化された経済では戦いようがありません。(2008/09/28)

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いただいたコメント

政策云々の議論も十二分に必要ですが、その土台となるべき日本社会の精神性を議論する必要があるように思います。例えば法人税を下げたとしても売るべき日本人の精神性や民族性が無い現状ではグローバル化された経済では戦いようがありません。(2008/09/28)

現在世界的規模で起こっている経済的混乱のもとは、自由主義経済という19世紀末に絶対主義的政治経済的環境を打破する思想を、21世紀の今日まで、無批判に信奉してきた結果ではないのか。 社会主義が21世紀を目前に死にたいとなったように、根本的な変革が求められていると思う。企業が栄えて、その下で国民が呻吟するような社会は、どう考えても長期的繁栄を維持することはできないと思う。 最大の問題は、変革の手段がありうるのかということである。(2008/09/27)

世界の現状から日本が何故構造改革と軍事大国を求められるかを非常に要領よく説明しながら、小泉流構造改革の継続に国民がもはや耐えられない理由(甘えではない)及び軍事大国化が正しい解ではないことを明快に解説しておられ、非常に啓発された。そして代替的な処方箋として、1.福祉国家的バラマキ、2.EU的な地域的経済圏,が必要とされている。私はこれに加え3.として、軍事大国化に代わる国際貢献をする力としての交渉力を備えた外交力を挙げたい。1.については財源とそのための成長の必要性があげられているが、2.の地域的経済圏提案に対する読者からのコメントによる厳しい批判が印象的であった。私は、渡辺教授に肩入れし、決してEUも簡単な道のりでなく例えば犯罪者の激増などの副作用を蒙りながらも困難な時局を乗り越えようとしていることを指摘したい。しかしそれにしても韓国・台湾はともかく、30年以内にEU並みの統合を日本が中国や北朝鮮と行なうのは不可能といわざるを得ない。その意味では渡辺教授の考えは机上の空論のように思えるが、私はEU型の統合ではない地域協力の方法があるのではないかと考えている。渡辺さんにおかれても東アジアで考えられる地域的経済圏の形成の具体的方法を次回の論考で示していただきたい。 (2008/09/25)

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