農林水産相の辞任や流通に関与した経営者の自殺に発展した、ミニマムアクセス(最低輸入量)米を巡る事故米騒動が、食料自給率の向上を目指す取り組みに冷や水を浴びせている。ようやく立ち上がり始めた加工用米の新市場が冷え込む恐れが出てきたからだ。
「そちらの米は大丈夫か」。米を精白・製粉して加工した麺「米粉めん」を製造している農事組合法人りぞねっと(山形県真室川町)には、事故米の騒動後、納入先の飲食店や小売店、学校給食センターなどからこんな問い合わせが増えている。
「そのまま食べてもおいしい米を加工して作っているので大丈夫」と答えると「産地証明を出してくれ」。応じて出せば「疑うわけではないが、これも偽装されたものかもしれない。国産の安全な米で作ったという証明ができる証拠はないか」。これにはお手上げだ。「信用してもらうしかない」と斎藤隆幸代表理事は嘆く。
原料の違いで2つの「米粉」
斎藤代表理事が「そのまま食べてもおいしいコメ」と説明しているように、パンや麺の原料に使う米粉は、その多くが政府が推進する、主食にも使える余剰米の活用法として生産・流通が始まったものだ。小麦の価格が高騰している現在、米粉に加工した余剰米が小麦粉の代替品として使えれば、食料自給率の向上に貢献できると見た農林水産省が取り組みを支援している。
従来は地方の中小企業の事業にとどまっていたが、今年7月に山崎製パンが一部の地域で米粉を配合したパンの販売を開始、ローソンが9月9日から米粉100%のパンを全国販売するなど、その動きが大手による全国規模の事業へと広がり始めていた。
実は、米粉の原料となる加工用米は、米の性質によって大きく2つに分けられる。1つが、ここまで説明してきたような、粒のままでも主食になり得る米。だがこれは、加工用米の中ではまだマイナーな存在でしかない。これまで米粉と言えば、主食に適さない加工用米を使った粉が普通だった。
食用米は収穫後に、ふるいにかけて選別する。ふるいの網目は直径2mm弱。網目から落ちた未成熟な米や破損した米は、粒食としての主食米として出荷できない。網からこぼれ落ちた米ということで「網下米」「ふるい下米」、場合によっては「くず米」と呼ばれ、粉に加工されて、米菓原料などに使われてきた。
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