「時事深層」

要処理3兆ドル 今は「まだ2合目」

米金融再生、障害は議会だけじゃない

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2008年10月6日(月)

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米国発の世界金融崩壊の連鎖が止まらない。
米金融安定化法案否決の衝撃は、株価暴落となって世界を一巡した。
この危機の脱出口はどこにあるのか──今こそ冷静に見極める時だ。

リーマン・ブラザーズが入居するビル

リーマン・ブラザーズが入居するビル

 「はしごを外された気分だ」

 米国の下院で、公的資金を投じて不良資産を買い取る金融安定化法案が否決された翌9月30日。前日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が史上最大の777ドルの下げを記録したのを目の当たりにして、日本の株式市場関係者はこううめいた。

 リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに金融危機の連鎖が加速してからわずか2週間。米政府は公的資金を使った対策を議会に提出した。「危機の震度も大きいが、解決に向けての動きも早い」──そんな市場関係者の期待は、議会の反乱であっさりと裏切られた。

 その直前、世界の金融市場は再び大荒れの様相にあった。米シティグループが大手銀行ワコビアの救済買収を決め、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクのベネルクス3国政府が金融大手フォルティスの国有化を発表するなど、金融危機が米国から欧州に飛び火した。

 29日、日本時間午後11時半には白川方明・日本銀行総裁が緊急会見を開く。深夜の会見は改正日銀法が施行された1998年以降、初めてとなる異例の事態。「ドルの流動性はほぼ枯渇した」──。米欧の中央銀行と協調し、国内のドル供給額を従来の2倍の1200億ドルに増やすことを発表した総裁は、凍りついた金融市場への危機感をあらわにした。

 市場関係者にとっては気の休まることのない週末が続く。米国を発端とした金融危機はどこまで深刻化するのか。底なし沼に入り込んだような状況は、かつての日本の不良債権処理を彷彿させる。日米の金融危機を比較してみると、その深さがおぼろげながら見えてくる。

次第に膨張、IMFの損失推計

 今回の危機の震度を見極める前提となるのが、米サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)に端を発する不良債権の総額がいくらになるのかという見積もりだ。

 国際通貨基金(IMF)は9月下旬時点で、世界の金融機関の損失が総額1兆3000億ドル(約138兆円)に達すると推計している。住宅ローンや消費者向けローン、不動産向け融資などを裏づけとする証券化商品などを積み上げた推計値で、市場関係者の間で広く参考にされている試算だ。

 ただし、この金額は過去1年、何度も上ぶれしてきた経緯がある。昨年9月には最大で2000億ドル(約21兆円)と推計していたが、その後、住宅価格の一段の下落や、様々な証券化商品に損失が広がったことで、追加損の見積もりがどんどん膨らんだ。市場関係者の間では「1兆3000億ドルではとても収まらないのではないか」との疑心暗鬼を呼んでいる。

 別の視点から推計するとどうか。参考になるのが、格付け情報会社・三國事務所の三國陽夫代表の分析だ。

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著者プロフィール

蛯谷 敏(えびたに・さとし)

2000年、日経BP社入社。通信業界誌『日経コミュニケーション』記者を経て、2006年より日経ビジネス記者。情報通信、ネット、金融、不動産、政治、人材など色々担当。「一極集中」から「多極分散」へと移り変わる様々な事象をテーマに日々企画を考えている。



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日経ビジネス “ここさえ読めば毎週のニュースの本質がわかる”―ニュース連動の解説記事。日経ビジネス編集部が、景気、業界再編の動きから最新マーケティング動向やヒット商品まで幅広くウォッチ。

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