「時事深層」

リーマン・ブラザーズ、悪夢の内幕

「年収3000万円企業」はこうして消えた

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2008年10月7日(火)

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 1株21セント(約22円)。

 経営破綻した米大手証券、リーマン・ブラザーズのリチャード・ファルドCEO(最高経営責任者)は、連邦破産法11条を申請した直後に、紙くず同然の値段で同社株を売り抜けていた。年初なら2億ドル(約210億円)の価値があった317万株は99.7%も減価。結局、手にしたのは約66万ドル(約6900万円)だった。

 「会社を潰しておいて、みっともないと思わないのか」。管理部門の幹部は眉をひそめた。「だって、彼の年収は数十ミリオン(数十億円)だよ。しかも、14年もトップにいて、十分に儲けたはずだろう」。

 CEO在職期間に4億9000万ドル(約510億円)を稼いだファルド氏は、破綻後に姿を消した。「彼は大丈夫か」。そんな心配をする声もあったが、実は必死に持ち株を処理していたわけだ。

解雇か、大幅減給か

ファルドCEOの似顔絵に社員が緑、通行人が黒のペンでコメントを書き込んだ

ファルドCEOの似顔絵に社員が緑、通行人が黒のペンでコメントを書き込んだ

 「GREED GREED GREED!(強欲)」

 ニューヨーク本社前。ファルド氏の似顔絵に、社員の殴り書きがあった。地元の画家が、社員をつかまえては緑のペンで彼への思いを綴らせたのだ。

 その様子を見ていた自営業のギャリー・スミス氏は、呆れ顔でこう言った。

 「同情? するわけないよ。あの連中は住宅ローンを、まるでハロウィーンのキャンデーみたいに配って、身分不相応のカネを稼いでいたんだから」

 だが、住宅市場が傾くと暗転した。ローンを貸し込んだ商業銀行や、その債権を複雑な金融商品に仕立てて世界中に売りさばいた投資銀行が、次々と経営危機に追い込まれている。

 「当然の報い」「これで金融界が少しは正常になる」。通行人たちが口々にそう感想を漏らす。だが、リーマンの社員は「異常事態だ」と訴える。

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著者プロフィール

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス副編集長。日経ビジネス記者(1990〜2006年)、ニューヨーク特派員(2006〜2009年)、日経ビジネス副編集長(2010年)、日経ビジネスオンライン副編集長(2011年)を経て、2011年9月から現職。



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