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ソフトバンク和田投手が起こした革命

細川佳代子が語る「日本に根づき始めた寄付の文化」

  • 真弓 重孝

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2008年10月8日(水)

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 先月の日経ビジネス オンライン総合ランキングで5位になった「“殿様”にはなれない日本の首相」で、元首相夫人の立場から日本の政治システムが抱える問題点について指摘した細川佳代子氏。

 記事では、福田康夫前首相の辞任を、個人や政党特有の問題ではなく、政治システム全体そして日本が持つ独特の“空気”という視点から指摘した。それが、読者から「とても参考になった」という評価が8割を超えるという反響につながったと見られる。

 しかし、氏の本職は政治や社会評論ではない。複数のNPO法人(特定非営利活動法人)などの代表として、慈善活動に携わる日々を送っている。その活動の中で、最近強く感じることが、「日本は今、寄付の革命が起きている」ということだ。それについて聞いてみた。

(聞き手は日経ビジネス オンライン 真弓 重孝)

細川佳代子氏

「僕のルール・私の理由」エッセイコンテストの会見に臨む細川佳代子氏

 細川佳代子 日本には、欧米などの諸外国と比べると、「寄付の文化が根づいていない」。以前はそう感じることがありました。しかし、最近はそうした思いが薄れ、日本にも寄付が普通のこととして、人々の中に意識されてきている、と思うようになりました。

 今までの日本では、どちらかというと寄付をするにしても
「隣の家がやっているから私も」
「皆が500円寄付しているから、私も500円」と、主体性を感じられない形で行われてきたようです。

 それでも寄付がされれば何らかの役に立ちますが、中には「こんな少額では、かえって失礼ではないか」ととどまってしまったり、逆に大きな金額を出したいと思っても、「周りの人からあれこれ言われるから、世間並みにしておこう」と、ともかく何かと他人の目を気にしているようでした。

 最近、日本に活力がないと言われているのは、人の目ばかり気にして、無難にみんなと同じことをしていればいい、と思う人が増えているからかもしれません。しかし、その一方で、日本人の寄付に対する態度に、少しずつ変化が表れてきたと感じるようになったのです。

 ―― 自分の意思や信念で寄付を行う人が多くなった、ということですか。

 細川 私が代表を務める認定NPO法人「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」では、「僕のルール・私の理由エッセイコンテスト」、略して「ぼくルル」というキャンペーンを、今年10月末を期限に行っています。

 JCVに寄付していただく際に、どのような理由をもとにして行っているのか、「僕の」「私の」決めごとをみなさんに紹介していくのが、このキャンペーンの趣旨です。「人がしているから」私もという受け身ではなく、「自分はこういう理由で寄付している」と例を明らかにしてもらうことで、主体的に寄付する輪を広げていくのが狙いです。

 それはどんなものか。例えば、ある京都のタクシー会社は「走行距離が1000キロごとにワクチン1本分」と決めています。また福岡の歯科医院は「患者さん1人来院ごとにワクチン1本分」、さらに東京の墓石販売会社さんでは「墓石が1基売れるごとに1万円」としています。こうした企業以外にも、学生が学校の部活動の中から決めごとをして、寄付している例もあります。

コンテストの審査員

コンテストの審査員を務めるにタレントの早見優(右)氏と翻訳家の鏡リュウジ氏(左)と細川氏

 ―― ワクチン1本分というと。

 細川 JCVは1994年から、ポリオや結核、はしか、破傷風など予防可能な感染症で命を落とす子どもたちが数多くいる途上国に、ワクチンを供給することなどを目的に募金活動を始め、95年から援助を始めました。このワクチンは、日本円で1本分が20円です。ですから1万円というと500本分の寄付になります。

 JCVは、ワクチンの供与を現在、ミャンマー、ラオス、ブータンに実施しています。今年の供与実績は現時点で、3カ国合計で約5400万円になっています。供与しているのは、ワクチン以外にも注射器やワクチンを保管する冷蔵庫や冷凍庫、持ち運びに必要なボックスや自転車など、接種に必要な器具などが含まれています。

 ―― 企業や個人などが独自のルールを決めて、寄付するようになったのはどうしてでしょうか。

 細川 2005年、福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手が「公式戦で1球投げるごとにワクチン10本、勝利投手になったら20本」というルールを決めて募金することを、公共広告機構(AC)のコマーシャルで紹介されるようになってからです。

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