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「粉飾資本主義」が世界を滅ぼす

『会計物語』の林 總氏と『エネルギー』の黒木 亮氏が緊急対談(前編)

2008年10月9日(木)

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 米国発の金融不安は、リーマン・ブラザーズの破綻後さらに混迷を深め、世界同時株安を招き収まる気配を見せません。

 リーマンのような大企業がなぜ、破綻という事態に陥ってしまったのか? そもそも、企業の破綻はなぜ起きるのか? 林總氏と黒木亮氏のお2人に、企業を破綻に追い込む会計のワナについて語り合っていただきました。

 林氏の近著『会計課長 団達也が行く! 物語で学ぶ会計と経営』でのテーマは粉飾決算。黒木氏は『エネルギー』で石油デリバティブの不正会計を描きました。

 企業破綻を招いた会計の不健全性、さらに現代の企業経営を蝕む「粉飾」の手口や実態について、2回にわたって語っていただきました。

 「会計」という視点で一連の金融危機を見てみると、問題の本質が浮かび上がってくるはずです。

会計のグレーゾーンを利用

編集部 サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した金融不安は、リーマン・ブラザーズをはじめとする大手投資銀行の経営破綻や経営統合を招きました。財務面から見ると、リーマンの破綻を招いた問題はどんな点にあったのでしょうか。


黒木亮氏。英国在住。
近著『エネルギー』(上、下)が好評発売中(写真:稲垣純也、以下同)

黒木 リーマン・ブラザーズは今年の第2四半期の決算で、買い戻してもいない自社債務をマーク・トゥ・マーケット(時価評価)して4億ドルの利益を計上しています。簡単に言えば、簿価が100の自社債務が市場で30まで値下がりしている時に、30で買い戻せば70の利益が出るので、損益計算書に70の利益を計上するという会計処理です。これはHSBCやバークレイズ、メリルリンチもやっていますが、会計上認められているとしても、首をひねらざるを得ません。

 かつてエンロンは、天然ガスの長期契約から20年先に発生する利益をマーク・トゥ・マーケットして現在の利益として計上していましたが、それを思い出させる会計のグレーゾーンを利用したやり方のように思えます。

リーマンの営業キャッシュフローは大赤字

 米国の証券アナリストや投資家は利益を重視しますが、私に言わせれば、一番重要な財務指標は営業キャッシュフローです。簡単に言えば、商売をやってどれだけ現金を稼いだかということで、財務の健全性を見るうえで最も信頼できる指標なのです。

 そこで今回、リーマンの営業キャッシュフローを過去4年分調べてみたのですが、2004年11月期がマイナス135億ドル、2005年度がマイナス120億ドル、2006年度がマイナス3600億ドル、2007年度がマイナス4600億ドルと、膨大な赤字を出し続けていました。これは金融商品の購入に使ったのです。

 営業キャッシュフローのマイナス分は、借入金で埋め合わせています。その結果、2007年度の短期借入金は2700億ドル、長期借入金は1500億ドルととてつもなく大きく膨らんでしまいました。レバレッジ効果を使ったビジネスモデルと言えます。絶対額で見れば、利益は営業キャッシュフローの10分の1程度です。これでは利益とキャッシュフローの関係がねじれてしまっていて、企業として存続できるわけがありません。

黒木 私は昔から粉飾決算にとても興味があって、『カラ売り屋』や「コストカッター~続カラ売り屋」という作品の中でも、どうやって粉飾を見抜くかという視点から企業会計の実態について描いてきました。

 粉飾に手を染めてやがて経営が破綻するという企業をいろいろ調べていくと、たいていは営業キャッシュフローがマイナスになる一方で、売掛金が膨らんでいくという図式が見えてきます。つまり、利益は上がっているのに営業キャッシュフローがマイナスになってしまったり、売り上げは伸びてないのに売掛金が積み上がっていくというパターンです。


黒木 亮(くろき・りょう)
1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社に23年余り勤務し、国際協調融資、プロジェクト・ファイナンス、航空機ファイナンス、貿易金融など数多くの案件を手がける。英国在住。主な著書は『トップ・レフト』『巨大投資銀行』『アジアの隼』『青い蜃気楼~小説エンロン』『カラ売り屋』『貸し込み』など。近著『エネルギー』(上・下、各1800円税別)が好評発売中。


単行本『熱血!会計物語 経理課長、団達也が行く』

林 總(はやし・あつむ)
公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)、林總アソシエイツ代表取締役。1974年中央大学商学部会計科卒業。経営コンサルティング、一般会計および管理会計システムの設計、導入指導、講演活動などを行っている。主な著書は『経営コンサルタントという仕事[改定版]』『よくわかるキャッシュフロー経営』『わかる!管理会計』『やさしくわかるABC/ABM』『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『売るならだんごか宝石か』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか』など。近著『会計課長 団達也が行く! 物語で学ぶ会計と経営』(1600円税別)が好評発売中。


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