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金融危機だけではないもう一つの危機

グローバル経済を襲う新型インフルエンザというリスク(前編)

2008年10月14日(火)

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 毎年、流行を繰り返すインフルエンザ。そのウイルスは少しずつ変化し、人が持っている免疫から外れるような形に姿を変えてきた。だが、インフルエンザウイルスは突然変異によって、大きく姿を変えて人間の前に現れることがある。今までになかったタイプに変異するため、まったく免疫を持たない人の世界に広まると、世界的な大流行を引き起こす。これが、新型インフルエンザである。

 日本で新型インフルエンザが流行した場合、3200万人が発症し、64万人が死亡することもあり得る、と厚生労働省は想定している。そうなると社会的混乱に加えて、米国発の金融危機に揺さぶられている実体経済にも深刻な影響を与えかねない。

 この新型インフルエンザの影響や、大流行に備えて企業が取るべき対応策について、今後2回にわたってリポートする。まずは、厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議の議長を務める岡部信彦氏(国立感染症研究所感染症情報センター長)に、新型インフルエンザの恐ろしさと備えの重要性について聞いた。(聞き手は日経ビジネス オンライン編集部記者 篠原 匡)

―― いまメディアには新型インフルエンザの話題が頻繁に上っています。従来のインフルエンザに比べて何が脅威なのでしょう。

岡部 普通のインフルエンザは毎年、どのくらいの患者数が出るかご存じですか。

―― ……さあ。

岡部 流行が少ない時でも国内で数百万人、流行が多い時期になると1500万人から1800万人ぐらいの患者が出ます。それに対して、新型インフルエンザは2500万人から3000万人の患者が出るという試算がある。通常のインフルエンザの倍以上の患者が出てもおかしくはありません。

かかりつけの医者に診てもらえなくなる可能性も

岡部信彦(おかべ・のぶひこ)

岡部信彦(おかべ・のぶひこ)
国立感染症研究所感染症情報センターセンター長。1971年、東京慈恵会医科大学卒業後、帝京大や慈恵医大で助手を務める。1995年慈恵医大小児科助教授、1997年国立感染症研究所感染症情報センター室長を経て、2000年より現職。厚生労働省が主催する新型インフルエンザ専門家会議の議長を務める(写真:大槻純一、以下同)

 いつものインフルエンザが大流行した時のメディアを見ると、「救急車がフル出動」とか、「病院には患者が殺到して長時間待ち」などといった見出しが立つ。ちょっとでも流行すれば患者があふれ出るというのに、新型インフルエンザが起こればどうなるか。その混乱は医療機関だけにとどまらず、世の中全体に広がる。

 新型インフルエンザが広がれば、症状の軽い人から仕事を休む人まで様々な患者が出るでしょう。入院が必要なのにベッドがないという事態も考えられます。こういう状況を想定してどういう対策を取るか。新型インフルエンザの脅威はいろいろと言われていますが、ここが一番の現実的な問題だろうと私は思っています。

 加えて、医療のやり方が変わる可能性も一般の方には認識しておいてほしいところです。新型インフルエンザが大流行した際に、いつも見てもらっているお医者さんにいつも通り、見てもらえるとは限らない。人の集まるところはそれだけ感染のリスクが高いということを考えると、症状が軽ければできるだけ家にいてください、という話になるかもしれない。

―― 厚生労働省は64万人が死亡する可能性もある、というシナリオを提示しています。パンデミック(地球規模での大流行)時にはかなりの被害者が出る、と見ているようですね。

ウイルスの明らかな姿はだれも分からない

岡部 新型インフルエンザと呼ばれるのは、今までに人類が経験したことがない新しいタイプのインフルエンザウイルスのため。新しいタイプに限らず、過去に流行ったウイルスが復活した可能性もありますが、いずれにしても人々のほとんどが未経験で免疫がない。患者数が増えるし、重症者も出てくるでしょう。

 ただ、その人数は分からない。世界のどこにも現れていないウイルスであり、その明らかな姿は分からない。だから、過去の事例から推定するしかない。

 新型インフルエンザの1つだった「スペイン型インフルエンザ」の時(1918~19年)には患者の2%ぐらいの方が亡くなりました。その一方で、「アジア型」(1957~58年)の被害者は1ケタ少なかった。こういう過去のケースを当てはめて、30万人とか60万人といった数字を想定している。ただ、この数字はあくまでも仮定の話。正直なところ、重症者がこれより軽いのか重いのか、確定的なことは何も分かりません。

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「金融危機だけではないもう一つの危機」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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