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仏企業が突きつける刃

過熱する原子力ビジネス(2)

  • 児玉 博

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2008年10月14日(火)

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 ルネッサンスとも、バブルとも称されるほど活況を呈しているのが原子力ビジネス。
 世界市場で熾烈な受注競争を繰り広げる企業群の中で現在、原子力プラントを建設できる企業群は4つしかない。

・東芝―米ウエスチングハウス(WH)
・仏アレバ―三菱重工業
・米ゼネラル・エレクトリック(GE)―日立製作所
・アトムプロム(ロシア)

 この中で突出した存在なのが仏アレバ。それを猛追しているのが東芝というのが現在の勢力図だろう。

 アレバの強みはなにか? 第3世代の最新鋭PWR(加圧水型原子炉)を持っている上に、ウラン燃料の供給から使用済み核燃料の再処理まで一貫したサービスを提供できる点にある。

 フランスは原子力大国である。原子力は国を挙げて取り組む、つまり取り分け重要な国策産業なのである。こうした事情もあり、アレバには毎年、多数のエリート技術者が入り、さらにそうした技術者が官庁に出向してはまた戻ってくるなど、回転扉方式で人材を満遍なく、また間断なく育てている。だからこそ、アレバは民間企業であって、民間企業ではない国策企業そのものなのである。

 そのアレバを追撃しているのが大胆な経営戦略をとる東芝だ。そのために打たれた布石が、ウエスチングハウスの買収であり、カザフスタンとのウラン供給契約であり、ロシア側と基本合意している戦略的な提携である。

 東芝が持つ、アレバと遜色ない第3世代軽水炉「AP-1000」が米国で、中国で次々と原子炉を受注している事実はアレバの世界戦略に大きな障害が登場したことに等しい。

 アフリカを始めとする旧植民地から供給されるウラン、国内でのウラン濃縮、使用済み核燃料の再処理まで核燃料サイクルサービスをパッケージとして売り込み、世界の覇権を握ることがアレバの大きな世界戦略だ。

 そのアレバが狙い定め、買収に乗りだしている企業がある。東京から遠く離れた山口県下関市にある「ジルコプロダクツ」が標的とされている企業だ。

 ジルコニウム素管を輸入し、圧延し、熱処理を加え、表面を研磨した被覆管を製造している。この被覆管、ジルコニウム合金、が原子炉の燃料棒を覆う被覆材料として用いられるのである。

 つまり、原子炉製造の極めて重要な、「フロントエンド(ウラン採掘から核燃料の加工といった発電前に必要なもの)の一部。これなしでは原子力発電は成り立たない」(原子力業界関係者)。

 神鋼特殊鋼管と住友金属工業が、それぞれ被覆管製造工場を分離し、50%ずつの出資比率で「ジルコプロダクツ」を設立したのは2000(平成12)年。輸出を一切行っていない同社の国内シェアはおよそ70%。同社に原料となるジルコニウム素管を供給しているのが、その分野で世界シェア50%以上を持つ、アレバの関連会社「セザス」社である。

 今回、「ジルコプロダクツ」の買収を目論み、同社に接触を繰り返しているのがこの「セザス」なのである。

 設備能力ベースで見た場合、「ジルコプロダクツ」の世界シェアは8%。「セザス」39%、「ウエスチングハウス」26%、「GNF-A(グローバル・ニュークリア・フュエル)」16%となっている。

 世界レベルで見れば、「ジルコプロダクツ」のシェアはわずかである。しかし、原子炉製造という壮大なパズルの小片(ピース)ではあるが、その小片が無ければ全体が成立せぬほどの重要な部分を海外、しかも東芝の最大のライバルである「アレバ」に握られることはなにを意味するのか。

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