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1兆円あれば、即刻全額「買い注文」

さわかみ投信の澤上社長が語る、暴落時こそ「買い」の真意

2008年10月15日(水)

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米国発の金融危機が世界中に蔓延し、世界の株式市場が激震に見舞われた。連休明けの14日の株価は急反発したものの、金融危機に揺さぶられた投資家の心理は、疑心暗鬼を完全に払拭したかは予断を許さない。

だが、悲観一色ではない。「ピンチはチャンス」とばかりに、割安となった株式を買い進める投資家もいるのだ。そんな投資家の1人で株式の長期運用で実績のある、さわかみ投信の澤上篤人社長に話を聞いた。

(聞き手は日経ビジネス 坂田 亮太郎)


澤上篤人(さわかみ・あつと)氏

澤上篤人(さわかみ・あつと)
「さわかみ投信」社長。1947年愛知県名古屋市生まれ。69年に愛知県立大学卒業後、松下電器貿易(現パナソニック)入社。70年に退社して欧州に渡り、74年までスイス・キャピタル・インターナショナルでアナリスト兼ファンドアドバイザー。ピクテ・ジャパン社長などを経て、96年にさわかみ投信顧問(現さわかみ投信)設立。99年に日本初となる独立系ファンド「さわかみファンド」の運用を開始。『10年先を読む長期投資』(朝日新書)など著書多数。「日経マネー」にコラム「ゴキゲン長期投資」を連載中。

(写真:森谷祐増、以下同)

 ―― 先週末の10月10日には日経平均株価が一時8000円台になるなど株価の大幅下落が続きましたが、今の株式市場をどのように見られていますか。

 澤上篤人 相場の細かい動きなんか見ていません。買って、買って、買って、買いまくって、カネがぜんぜんありません。一言で結論を言えば、「お金はありませんか。あったらいくらでも引き受けます」ということです。1兆円あったら、(株を)1兆円買う。即刻、すべてを買い注文に出します。

 ―― 1カ月前に比べても株価が3~4割も下落している銘柄はたくさんあります。今後成長が見込める会社の株式なら、今は「割安」ということですか。

 澤上 景気が悪くなれば、当然のことながら、減益になります。だからと言って、全部の会社が潰れるわけではありません。それならば「潰れない会社の株を買えばいい」、ということです。景気悪化を理由に株価が下がっているわけですが、今の下落幅はそれ以上に下がっています。そこまで分かっている人だったら、今こそ「買い」のチャンスなのでは、いうことです。

 ―― 大幅に下落した時は、市場全体がパニックに陥っているという印象があります。その背景にはメディアが騒ぎすぎ、ということですか。

 澤上 確かに騒ぎすぎという面はありますが、メディアは今を語るのが仕事だから、株価が急落していれば「急落している」と報じるのは自然なことでしょう。では投資家はどうすべきか。メディアが伝える「現実」に対して、将来をどう見据えるかが問われている。

買う株は既に選んである

 将来ダメになりそうな会社の株は買わなければいいし、株価がさらに下がりそうだと思えば空売りだってすればいい。今後、個人の購買力が高まらないまま経済が失速すれば、商品やサービスに対する消費者の選択眼は、ますます厳しくなっていく。つまり企業からすれば必要・不要がよりシビアに判断される時代となる。

 したがって、原材料高の川上インフレの圧力を吸収しつつも販売価格に転嫁できる「消費者に必要とされる企業」であれば、今後景気がどうなろうともその強さが徐々に明らかになってくるはずです。そうならば株価が割安のうちに、何のためらいもなくその会社の株を買わなくては。投資家とは、将来を見据えて、今行動できる者だからさ。

 ―― 世界一の富豪ウォーレン・バフェット氏が米投資銀行ゴールドマン・サックス(GS)や米ゼネラル・エレクトリック(GE)に巨費を投じたのも同じ理由からですね

 澤上 さすがです。バフェットさんなら、やはり行動すると思った。それが投資家としての自然な行動。将来を見据えれば、今の株価は恐ろしいまでに安く売られているのではないでしょうか。だから今株を買うのは当然なことです。

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「1兆円あれば、即刻全額「買い注文」」の著者

坂田 亮太郎

坂田 亮太郎(さかた・りょうたろう)

日経ビジネス副編集長

東京工業大学大学院修了後、98年日経BP入社。「日経バイオテク」「日経ビジネス」を経て2009年から中国赴任。北京支局長、上海支局長を経て2014年4月から日経ビジネスに復帰

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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