「ニュースを斬る」

投資信託に“無印”流を持ち込む

良品計画を立ち上げた元西友社長・木内政雄氏が語る

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2008年10月20日(月)

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 世界金融危機の影響で、安定しない日本の株式市場。そんな中で「長期保有者が得をする」という日本初の仕組みを取り入れた投資信託が登場した。独立系投信会社レオス・キャピタルワークス(東京都千代田区)が10月1日から運用を開始した「ひふみ投信」だ。5年以上で保有する口数に係わる資産残高の年率0.2%、10年以上で年率0.4%に相当する金額分の口数が自動的に増える。

 この原資となるのが、レオスが得た信託報酬(年率1.029%)だ。いわば、レオスは長期保有者に信託報酬を“還元”することになる。「販売を証券会社に任せるのではなく、直販するからこそ実現できた」とレオスの藤野英人社長は説明する。藤野社長は、野村アセット・マネジメントなどのファンドマネージャーとして長年、中小株の運用経験を持ち、2003年に独立した。

 ひふみ投信の開発に、流通業界の重鎮が携わっていたことはあまり知られていない。「無印」ブランドで成功を収めた良品計画の実質上の創業者である木内政雄氏だ。木内氏は西友社長として米ウォルマート・ストアーズとの提携を手掛けたことでも知られる。退任後にレオス取締役に就任。月1回の経営会議に出席、藤野社長へアドバイスもする。流通の変革を体現した木内氏の目には、「金融も変革の時」と映る。

(聞き手は日経ビジネス記者、戸田 顕司)

 −− ひふみ投信に関わるきっかけは何だったのでしょうか。

木内 政雄(きうち・まさお)氏
1944年7月生まれ。1968年に西友ストアー(現・西友)入社。無印良品事業部長として、無印ブランドの確立に力を発揮する。良品計画社長、西友社長などを歴任。2006年にレオス・キャピタルワークス取締役就任。2007年にコンサルティグ会社U.P.n.P.(東京都渋谷区)を立ち上げた。
写真:村田 和聡

 木内 私が良品計画にいた頃から、(レオス・キャピタルワークス社長の)藤野英人さんと付き合いがありました。その後、西友に行っても、企業経営について議論を交わした仲です。それで私が退職したときに、「投資信託にも流通の視点が必要だからぜひ」と藤野さんから声をかけられたのです。

 もっとも私は流通の経験しかありませんから、銘柄選定といった専門的な話は分かりません。ただ消費者の立場から、「分厚い商品説明書なんて読まないよね」などと意見を言わせてもらっています。私自身、退職金で投信を買いました。しかし、よく分からない。そうですよね。多くの人は、会社で一生懸命に真面目に働いてきた。おカネの利殖なんて考えたこともない。自分なりの判断基準を持っていないわけです。証券会社が勧める投信を買って、気づけば“塩漬け”になっている。にもかかわらず、証券会社は手数料で3〜3.5%も持っていく。こんな不満があるわけですよ。

 −− 個人で資産を形成するためのコストが高すぎるというわけですね。

木内 既存の証券会社の仕組みでは、まず3%ありきになってしまうのでしょう。企業としての土台がローコストになっていないと、安くすることは絶対にできません。これは流通マネジメントも同じです。流通では、こんなサイクルがあります。まず価格破壊でデビューする。企業が成長すると、マージンが高くなっていく。そして、衰退期を迎える。すると、新たな価格破壊のプレーヤーが登場してくる。これは普遍の真理でしょう。コストがかかるところは、新しいことはできません。

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