米国発の世界金融危機の嵐が収まらない。
金融機関のダメージは米欧に比べ軽傷と言われる日本も、実体経済を見てみれば、発火点となった米国より先に実質経済成長率はマイナスに転じている。地域金融機関などの経営悪化といった不測の事態に見舞われた時、実体経済を巻き込んだ負のスパイラルは、米欧諸国より深刻になる恐れもある。
果たして、日本の政治はそんな危機に対応できるのだろうか。
リーマンショックより総裁選
世界の金融危機が一気に加速した、米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻劇。その頃、日本の自民党議員の関心は、もっぱら次の総裁を誰にするかに集まっていた。破綻から2日後の9月17日、自民党は金融調査会などの合同会議を急遽開いた。しかし具体的な政策作りに入るには時間を要すことになる。危機感は乏しかった。
この日、総裁候補5人の姿は島根県出雲市にあった。街頭演説で経済財政担当相の与謝野馨が「(リーマン破綻は)日本にももちろん影響はあるが、ハチが刺した程度だ。これで日本の金融機関が傷むことはない」とした。
与謝野が信頼を置く人物によれば、「経済政策を司る閣僚として、いたずらに危機感をあおるのは避けるべきとの配慮から出た言葉」とのこと。与党がようやく「金融市場の動向とその影響への対応に関するプロジェクトチーム」を設置したのは、それから10日余り経った10月1日のことだった。
この時期、米国では2度目の激震が走っていた。9月29日、不良債権の買い取りなどを柱とした金融安定化法案が、米下院でまさかの否決となる。米国の金融危機の深刻化が懸念され、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は777ドルという史上最大の下げ幅を記録した。
大変なことになる。日本のある民間エコノミストや識者らはそう直感した。心許なく感じていたのは、首相に就いた麻生太郎率いる官邸の危機感の薄さだった。このままではまずい。そう感じた彼らは、何とか官邸に直接コンタクトできないかと模索するようになる。
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