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シリーズ――ポスト・サブプライム(3)

「自己愛の罠」を、常に心にとどめよ

  • 真弓 重孝

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2008年10月31日(金)

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 サブプライム問題に伴う世界的な金融市場の混乱を受け、今後の金融システムの在り方などを問う金融サミットの開催が来月半ばに予定されている。

 行きすぎた収益市場主義を是正するうえで、監督機関の規制強化は避けられない、いやむしろ積極的に監視すべきというムードが世界中で醸成されている。たしかに、金融システムの安定を取り戻すためには、公的資金の注入などの措置は欠かせない。

 しかし、公的資金は本来、国民1人ひとりの財産であるということを考えれば、公の前に民として今回のバブル崩壊の意味を考える必要がある。経営者として企業再建に取り組んできた経験を持ち、公的部門の改革にも詳しい伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長に話を聞いた。

(聞き手は日経ビジネス オンライン編集長 廣松 隆志)


 ―― 金融機関をはじめ欧米そして世界の企業は、これからサブプライムに関連する様々な負の遺産処理を迫られてくると思われます。かつて不動産投資で財務基盤を傷めた伊藤忠商事を再生すべく陣頭指揮した経験を持つ丹羽さんにとって、これから企業のリーダーが心がけておくべきことは、どのようなものがあるでしょうか。

丹羽 宇一郎(にわ・ういちろう)氏

丹羽 宇一郎(にわ・ういちろう)氏
伊藤忠商事 取締役会長
1939年生まれ。62年3月名古屋大学法学部卒業、同年4月伊藤忠商事入社、92年6月取締役、94年6月常務、96年4月専務、97年4月取締役副社長、98年4月取締役社長、2004年6月取締役会長就任、現在に至る。地方分権改革推進委員会委員長、成長力底上げ戦略推進円卓会議議員、日本経済団体連合会日タイ貿易経済委員会委員長、認定NPO法人 国連WFP協会会長などを務める。
(写真:花井 智子、以下同)

 丹羽宇一郎 まず、今回のサブプライム問題で言えるのは、人間というのは同じような過ちを、歴史的にも何回も繰り返すということです。米国人だろうが日本人だろうが、成功、失敗、成功、失敗を繰り返してきました。

 それは人間の心の持ち方というものが、非常に大きな影響を与えています。つまり強欲。世界のどの国を問わず自己愛、自己中心的になり、高い志は消失していきました。これらのことが重なって、今回の国際的な金融危機というものを生み出してきたのです。

 サブプライム問題で巨額の損失を計上したスイスのUBSが、今春に出した「Shareholder Report on UBS's Write-Downs」という50ページの報告書には今、私が申し上げた趣旨のことが書いてあります。

 自分たちの心にすきがあり、リスク分析を怠った。本来は自ら債券を抱えず、取り扱い手数料を得るべきものを、自ら保有してしまった。人事給与体系が成果主義一本だったため、社員は後にどんな資産が残るかなどほとんど気に留めず、自分の給料をいかに上げるかに、もっぱらエネルギーを注いできた――。

 今回の金融危機で破綻した海外の金融機関を買い取った日本の金融機関が、おそらく最も困っているのは、社員の報酬でしょう。彼らは高度な金融工学の知識を持ち、新しい商品を生み出してきたことに自尊心を持っている。

 本当は、これだけのリスクを残したことをまっさきに反省し、その報いも受けなくてはならないのに、いまだに高い給料をもらおうとしているわけですよ。私だったら即刻、「給料を半分にしてしまえ」と思うんだけど、そうするとその社員は逃げてしまう。そうなると、人が資産の会社だから、何を買ったのか分からなくなってしまう。

 私だったら、逃げる者は逃げても構わないと思う。本当に、彼らの能力で儲かったとは思いません。リスク分析に甘く、イケイケどんどん環境だったからで、知能が優れていたわけでも、どこそこのMBA(経営学修士)を持っていたからでもない。

 ―― どうしてリスクに甘くなるのでしょうか。

コメント11件コメント/レビュー

「情報開示、透明性の向上、社会に対する説明責任の堅持と、この3つの原則を徹底させる。政府がいちいち規制するものではありません。」←これは今世界の金融市場を崩壊させている米国流金融資本主義者=反規制主義者がずっと主張してきたことです。そして結果はご覧の通り。単に「騙した者勝ち」「騙されたやつは自己責任」の世界が訪れ,あげく「3つの原則」どころか,自分たちですらリスクを理解していないものを売りつける輩が横行しました。いい加減,丹羽氏も規制排除ドグマから脱却してほしいものです。(2008/11/03)

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「情報開示、透明性の向上、社会に対する説明責任の堅持と、この3つの原則を徹底させる。政府がいちいち規制するものではありません。」←これは今世界の金融市場を崩壊させている米国流金融資本主義者=反規制主義者がずっと主張してきたことです。そして結果はご覧の通り。単に「騙した者勝ち」「騙されたやつは自己責任」の世界が訪れ,あげく「3つの原則」どころか,自分たちですらリスクを理解していないものを売りつける輩が横行しました。いい加減,丹羽氏も規制排除ドグマから脱却してほしいものです。(2008/11/03)

丹羽会長は、今回の世界的恐慌を過去の歴史を振り返り、私利私欲に走ることの抑制と、ワーキングプアーに対する職場環境を整えて彼らの自尊心を取り戻すことが大切、との論展開。しかし、根本的な方策にもっと深く切り込んでいないのは講演への客の入りを考えてのことなのでしょうか?その程度の内容ならば、小生で充分間に合っている。人材派遣業は「人買い、ピンハネ業界」=憲法違反であり、自由取引を装う「食料品及び汎用エネルギーの買い占め」=法的規制の以前に悪行であること、を明確に表明していただきたい。人類は、資本主義の終演を迎えるまでに何を考えるか?これは、一人一人の命の終演を前提に考えているのであり、スパンが小さいというだけのこと。食料も、エネルギーも、工業製品も、生産者ありきの相場形成を前提とし、原則として全人類平等に恩恵を享受できる環境整備がなされることに時間をかけて取り組むことが重要ではないでしょうか。本来、食料の先物相場はあるべきではなく、資産運用は社会貢献を前提としたものでなければ成り立たないはず、という原点に帰ることは重要。国際的な規制を強化することが、ゥオール街中心だった経済環境を各国一般庶民に戻すことにつながらねば、新たなる利益追求システムを構築するネタ作りに終わってしまう。(2008/11/02)

とても参考になりました。金融のことなどほとんど素人でしたが今回の金融危機(ある人は「米国発の金融テロ」などと呼んでいましたが)の前からどうも世の中がおかしいと彼是と色々な方のご意見を読ませていただいておりました。金融にしろ証券にしろ結局のところ他人の金を動かして相場という賭場で大博打を打っていたというのが本当のところのようですね。あまりの金利の低さに高値で株やファンドに老後の資金を注ぎ込んだ私など、いったい何処に怒りをぶつければよいのか、いくら自己責任などといわれても、そのような風潮を作ってきた政府やマスコミなどとても信用する気になれません。銀行員やら証券マンの給料の高さ、一向に改めようという話が聞こえてきませんね。(2008/11/01)

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三品 和広 神戸大学教授