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中国のサイバースパイから知財を守れ

欧米諸国のメディアが注視、“丸腰”の日本は対策が急務

2008年11月4日(火)

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 2007年9月、オーストラリアのシドニーで開催されたAPEC。その直前、欧米諸国のメディアは中国によるサイバースパイの事実を相次いで報じた。度重なる“中国筋”の侵入に対する西側の抗議だったという。事の真相は不明だが、中国を名指しで批判する記事の数々は確かに何らかの意図を感じさせた。

 自社のコア技術やノウハウが外部に流出している――。情報漏洩やサイバースパイを疑う経験をした企業の関係者は少なくないだろう。「そのある部分は中国によるものである可能性が高い」と専門家は言う。

 有害物質メラミンが混入した食品や“毒入りギョーザ”事件などが騒がれている。しかし、ネット上に広がる中国の“脅威”にもっと目を向けなければ日本の知財は守れない――。インターネットセキュリティーの第一人者は警告する。

(聞き手は日経ビジネス オンライン記者 篠原匡)

――佐藤さんは中国によるサイバースパイに強い懸念を持っていると言います。実際にどのような被害が起きているのでしょうか。

佐藤 世界が中国によるサイバースパイをどう見ているか。そのことからお話ししましょう。2007年9月、オーストラリアのシドニーでアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開かれました。このAPECの直前、中国によるサイバースパイに関する記事が欧米のメディアを賑わしました。

欧米各国のメディアが中国のハッキングについて報じた

佐藤英明

佐藤英明(さとう・ひであき)氏
1950年広島県生まれ。1998年8月に情報セキュリティー会社、インターナショナル・ネットワーク・セキュリティーを設立。2005年7月にはNPO「セキュアなデジタル社会を推進する会」を設立、常務理事に就任した。情報漏洩対策やセキュリティー監査などを手がける。ネットワークセキュリティーの第一人者(写真:大槻純一、以下同)

 例えば、9月3日付の英フィナンシャル・タイムズは、「Chinese hacked into Pentagon(中国人がペンタゴンに侵入した)」という見出しで、2007年6月に中国人民解放軍が米国防総省のコンピューターシステムに侵入した事実を報じています。

 この報道の後、国防総省の報道官は、ロバート・ゲーツ長官室の電子メールシステムが一時的に止まったと伝えました。もっとも、私が米国の関係者に後日、聞いたところ、実際はシステムのネットワーク全体をコントロールするトップ・ドメイン・コントローラーまで乗っ取られていました。これは、全体のシステムダウンが可能だったことを示しています。

 中国によるサイバーセキュリティーに関する報道はフィナンシャル・タイムズだけではありません。8月27日のドイツの週刊誌、デア・シュピーゲルによれば、ドイツの首相府や経済省、外務省などのコンピューターが中国人民解放軍と思われるハッカーに侵入されていた事実を報じました。

 これ以外にも、「英国政府の中枢にも中国サイバー軍が侵入。10以上の英政府機関の内部システムが中国人民解放軍と見られる侵入を受けた」(9月5日付ガーディアン)、「複数の仏国家機関のコンピューターシステムが中国を『攻撃元』とするハッカーの侵入を受けた形跡がある」(9月7日付ル・モンド)。ニュージーランドやオーストラリアでも同様の報道がありました。

米中主脳会談をにらんでのリーク?

――なぜAPECの前だったのでしょう。

佐藤 APECの首脳会合に先立ち、9月6日にブッシュ大統領と胡錦濤・国家主席の会談が用意されていました。会談の席で主要議題として取り上げてもらうために、欧米の政府関係者が連携してリークした。私はこう見ています。米中の首脳会合後も、韓国やインド、ベルギーなどの政府に中国人民解放軍が侵入した、という報道が続いています。

――なぜ欧米諸国のメディアは中国人民解放軍の仕業と言い切っているのでしょうか。

佐藤 私は政府関係者ではありませんから細かいところは分かりません。ただ、恐らく各国政府はパケットの流れを記録するデータ消去不能な装置を導入し、パケットの流れを蓄積していると思われます。そして、そのデータを調べた結果、パケットが中国に流れているという確信を得ているのでしょう。

 別に中国による陰謀論を唱えるつもりはありません。ただ、各国政府が中国によるサイバースパイを現実の脅威として捉えていることは間違いない。米国防総省で中国軍サイバー部隊の対策を任されているサミ・セイジャリ氏は議会証言で、「米国の電力インフラにハッカーが激しい攻撃を仕掛けた場合、米国民の70%が6カ月間、電気なしの生活を強いられる」と警告を発している。6カ月間、電気が止まれば、日常の生活だけでなく、産業活動も止まってしまいますよ。

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「中国のサイバースパイから知財を守れ」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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