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摩擦のタネは、経済より国際貢献

「思想より行動」のオバマ新大統領が日本に課すもの

2008年11月5日(水)

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 米国の次期大統領に決まった民主党のバラク・オバマ上院議員。米国初の黒人大統領は、100年に1度と言われる金融危機やイラク戦争などの内外の課題に迅速に対処しなければならない。そして、米国民が失いつつある超大国としての誇りを取り戻すという重責を負う。国民の期待は高いが、それゆえにハードルも高い。

 8年ぶりの民主党への政権交代は、日米関係にも様々な影響を及ぼす可能性を持つ。もともと、霞が関や経済界は共和党との関係が深い。一方でかつて民主党のクリントン政権時代には、2国間で深刻な貿易摩擦が生じたことから、民主党政権に警戒感を抱く関係者も少なくない。オバマ政権によって、両国間はどのようになるのか。現代米国政治に詳しい東京大学の久保文明教授に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス オンライン 篠原 匡)

久保 文明(くぼ・ふみあき)

久保 文明(くぼ・ふみあき)
1956年東京都生まれ。1979年東京大学法学部卒業。東京大学助手や筑波大学講師、ジョンズホプキンズ大学客員研究員などを経て、1993年より慶応大学法学部教授。その後、2003年より東京大学法学部教授に。専門は現代米国政治。
写真:村田和聡

 ―― オバマ氏を大統領に押し上げた要因は何だったのでしょうか。

 久保  今回の大統領選では、最初のうちは意外なことが多かったと思うんですね。民主党の中ではヒラリー・クリントン氏が圧倒的に優勢と考えられていました。民主党のエスタブリッシュメントであり、人脈や知名度から言って、オバマ氏では到底かなわないと思われていました。

 ついでに言えば、共和党でもマケイン氏が公認候補に選ばれることを予想できた人はあまりいませんでした。穏健派のマケイン氏は、共和党では反逆児。共和党で圧倒的に強いのは、保守層でしたからね。

 オバマ氏が勝った1つの要因には、無党派層やインテリ、若者など比較的学歴の高い人々の強い支持があったと思います。オバマ氏を当選させることでアメリカのイメージを変えたい、もっとよいアメリカを実現したい、という想いですね。ヒラリー・クリントン氏はそういう印象が薄いですから。

金融危機が追い風に

 ―― 確かにオバマ氏はチェンジ(変革)という言葉を強調してきましたが、その言葉だけで選挙民が動かされたのでしょうか。

 久保  もう1つは、やはり金融危機が大きかったのでしょう。選挙戦を振り返ると、オバマ氏が民主党の公認候補になった後も初めのうちは接戦でした。9月前半の時点では、マケイン氏の方が世論調査で上位だった時期もあったほど。ただ、その後の金融危機はオバマ氏に追い風となりました。

 政策ではなく、指導者のパーソナリティーや経験が投票行動の争点になれば、マケイン氏に分があったかもしれません。ただ、金融危機によって、経済政策に対する信任投票になってしまいました。その結果、オバマ氏の支持率がどんどん上がっていったわけですね。

 これまでに大統領候補同士の直接討論会は3回ありました。その場でもオバマ氏は冷静沈着で、争点をよく理解していて、大統領となる資質と能力を持っているということを国民に印象づけることができました。それまでは「オバマ氏に任せて大丈夫なのか」、と不安感を持っていた人が多かったわけですが、そういった人々に対して、大丈夫と示すことができたのは大きかったですね。

 選挙戦そのものを見ても、オバマ氏はより戦略的でした。ネットでの集金力は凄まじいものがありましたが、オバマ氏を勝利に導いたのは、ネットだけではありません。重要な州には有給の運動員を数多く配置し、戸別訪問でオバマ氏への投票を訴えるどぶ板選挙を展開していました。

 テレビCMなどは「空中戦」と言われますが、地上戦でもこれまでのどの候補よりも規模の大きな地上戦を仕掛けたのがオバマ氏です。その結果、共和党が圧倒的に強いと思われていた州、バージニア州やアイオワ州、ニューメキシコ州、コロラド州などで支持率を上げることに成功した。

 ―― 現職大統領の支持率の低さもありますよね。

 久保  もともと金融危機の前からアメリカの経済はあまり良くなかった。それに、ブッシュ大統領の支持率も25~30%とかなり低い。そこにきて、外にうまくいっていない戦争を抱えている。イラクもそうですが、アフガニスタンもそんなにうまくいっていない。こういう状況では与党は圧倒的に不利ですよね。

 しかも、与党が3期目を狙うのは難しい。2000年の選挙で民主党は勝てなかった。2000年の経済情勢は好調でした。海外で戦争を行っていたわけでもない。クリントン大統領の支持率も60%前後でほぼ完璧だった。

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「摩擦のタネは、経済より国際貢献」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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