• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

銀行は中間層より上しか見ていない

日本イノベーター大賞受賞者が語る「金融の歪み」(前編)

2008年11月7日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 今年で7回目を迎える「日本イノベーター大賞」。産業界で新しい価値を作り上げる独創的な人材への表彰を通じて、日本に活力を与えることを目的に日経BP社が創設した。

 世界経済は未曾有の金融危機に陥っている。株価や為替の乱高下が続き、実体経済への悪影響も出てくる中、新たな金融システムの枠組み構築が求められている。こうした中、2008年の大賞に選ばれたのは、北米で働く中南米系の出稼ぎ移民に送金サービスを提供する米マイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション社長兼CEO(最高経営責任者)の枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)氏だ。

 同社は、インターネットを使った送金決済システムを開発、格安の手数料で利用者を増やしている。一方で、送金業務の過程で生じる滞留資金を途上国の事業育成や起業を支援。狙いは、草の根経済を刺激することで途上国の経済発展を促すことだ。東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)出身で国際金融業務に詳しい枋迫氏は、「今回の金融危機は銀行が営利に走って、自らの社会的使命を忘れた結果ではないか」と問題提起する。

(聞き手は日経ビジネス記者、戸田 顕司)

枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)

枋迫篤昌(とちさこ・あつまさ)氏
1953年広島県生まれ、54歳。1976年に同志社大学商学部を卒業、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。米ジョージ・ワシントン大学経営学修士。2003年に退職して、米マイクロファイナンス・コーポレーション・インターナショナル(ワシントンDC)を設立

―― 2003年に三菱東京UFJ銀行を退社し、米ワシントンでマイクロファイナンス・インターナショナル・コーポレーション(MFIC)を起業されました。移民に対する送金サービスの提供というビジネスモデルは最初から考えていたのですか。

枋迫 銀行が社会全体を刺激して草の根から顧客をサポートできる仕組みを作らないと経済が活性化しない。こんな問題意識が発端です。

 26歳の時、東京銀行の社員として語学留学でメキシコに行きました。この時に知り合った現地の家族に招かれて食事をした時、葉っぱのような薄い肉がスープに浮かんでいました。これを子供たちが喜んでいた。こうした姿を見て、「真面目に働いている貧しい人たちの生活に少しでも役立つような金融を実現したい」と決意したのです。

 極端に言えば、所得水準でピラミッドのようになっている社会で、銀行はいつの時代も中間から上の層にしか目を向けてきませんでした。これは人口にして3分の1に過ぎません。残りの3分の2は、銀行のサービスとは無縁で、銀行は貧困層に対するノウハウを持っていない。

 そこで、社会の底辺にいる貧困層でも利用できる金融インフラを作りたいと考えました。北米で働く中南米系の出稼ぎ移民は、1日に複数のアルバイトを掛け持ちして、寝る間も惜しんで働き、母国に住む家族に仕送りをしています。中南米から米国への送金は、年間660億ドル(約6兆6000億円)に達します。ところが、このうち95%は銀行を経由せずに、送金代行専門業者が担っています。しかも、送金手数料が10%を超えることも珍しくありません。

 MFICは手数料を低く設定してます。中南米に2000ドルを送金する場合、送金業者の中には360ドルぐらい取るところもある。MFICの手数料は20ドル。差額の340ドルは途上国の家族が3カ月は暮らせる金額です。

コメント3件コメント/レビュー

ヤミ金融と一緒にされてるコメントがあますが、確かに法的な部分でのシステムに問題がないかと言う意味での、危うさを感じますが、心が違いますよね!今回の記事はちょっと異色で、ある意味新鮮でした、取材ソースが豊富なんですね。日経ビジネス、まだ売っていれば購入します。(2008/11/09)

「ニュースを斬る」のバックナンバー

一覧

「銀行は中間層より上しか見ていない」の著者

戸田 顕司

戸田 顕司(とだ・けんじ)

ビジネスメディア編集部長

「日経ビジネス」兼「日経ビジネスオンライン」「日経トップリーダー」の副編集長、「日経レストラン」編集長、日経トップリーダー事業開発部長などを務め、2017年4月より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ヤミ金融と一緒にされてるコメントがあますが、確かに法的な部分でのシステムに問題がないかと言う意味での、危うさを感じますが、心が違いますよね!今回の記事はちょっと異色で、ある意味新鮮でした、取材ソースが豊富なんですね。日経ビジネス、まだ売っていれば購入します。(2008/11/09)

枋迫氏の様に国際的に社会貢献度の高い事業を営まれる日本人がいることを誇りに思う。銀行に限らず、すべての企業には社会的使命がある。利益を上げるのも、第一にその使命を維持・発展させるための手段のひとつにすぎない。会社は創業者のものでも、社員のものでも、株主のものでもなく、まず社会に帰属するものであることを再確認すべき時。米国の金融業界を中心として行われてきた「高度な金融工学を駆使した」と称する錬金術は、結局、巨大なニセ金作りを同じだったことが露呈した。「日経ビジネス誌」はじめとするマスコミも米国の「進歩した」金融を礼賛してきたことを反省すべき。今後は「利益至上主義」の企業評価に偏らない、真に社会に有益な企業のあり方を再考してほしい。(2008/11/07)

この方がやっておられることって非常に有意義だと思います。しかしながら残念なのは、御本人にも取材側にも次の意識がなかったこと。このやり方(ビジネスモデルといったほうが通りがいい?)は10年以上前にも(若しかしたらもっと前から)、個人や家族経営体くらいの企業でやられていた内容ですよね。しかし、そういった人がやると、中身を検証することもなく(あるいは検証したからこそ)“闇金融”のレッテルを貼って、犯罪者を逮捕しましたというニュースになって終わり。元銀行員という人がすると“素晴らしい”とか“新しい”という評価になるとすると…。結局、皆先入観や身分意識から、貴賎を考えながら相手を評価しているということなのですかね。(2008/11/07)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授