• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

証券化地獄、まだ序の口

幻想だった「邦銀優位」、農林中金の巨額損失で明るみに

2008年12月8日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 農林中央金庫が証券化商品などで2兆円の含み損を抱えていることが明らかになった。RMBS(住宅ローン担保証券)やCDO(債務担保証券)といった証券化商品に積極的に投資。市場関係者の間では、巨額の損失を抱えているのでは、と見られてきた。来年3月までに前代未聞の1兆円という巨額の増資を実施、財務の立て直しを急ぐ。

 農林中金の総資産は9月末で58兆円。このうち貸出金はわずか9兆円弱で、40兆円余りが有価証券などの投資に回っている。金庫自体がいわば巨大な「投資ファンド」なのだ。有価証券のうち外国債券で9728億円の評価損、証券化商品などで9769億円の評価損が出ている。

計22兆円を保有、損失計上は3兆円のみ

商品別の内訳はこちら

 問題は農林中金にとどまらない。金融庁が11月末に発表した日本の金融機関が持つ証券化商品の総額は9月末で22兆2710億円。売却などによる実現損と評価損の合計は3兆2730億円に達する。

 だが、損失の発生はまだまだ序の口だろう。というのも金融庁の試算による商品別の棄損率(保有額に占める損失の割合)は全体で13%。サブプライムローン関連商品こそ56%に達するものの、CLO(ローン担保証券)を含むCDOの棄損率は21%。CDOは信用金庫などが1兆円以上保有する。

 RMBSやCMBS(商業用不動産担保証券)に至っては公表されている棄損率は5~6%に過ぎない。地方銀行や信用金庫などは合計で2兆4000億円近くを持っているが、評価損はわずか110億円だ。世界的な不動産価格の下落で、サブプライムだけでなく一般のローンの焦げ付きが増加。商業ビルも空室率の急上昇で不動産ファンドの倒産も出ている。そんな中で棄損率が低いのは、証券化商品の価格評価が甘いからだろう。今後、こうした商品では損失が拡大しそうな気配だ。

ナンピン買いが傷を拡大か

 実は、邦銀の多くが損失の表面化や処理を先延ばしているようなのだ。監督当局の検査担当者は「ナンピン買いに問題が潜んでいる」と分析する。市場価格が帳簿価格の半分になった場合、減損といって強制的に損失計上する会計ルールがある。この基準に抵触しないよう、値段が下がった商品を買い増して帳簿価格を切り下げているのではないか、というのだ。こうした価格が下がった商品を買い増すことをナンピン買いと呼ぶ。

 農林中金もサブプライム問題が深刻化した昨年夏以降、証券化商品を追加取得してきた。昨年10月末には米メディアが「農林中金、3兆円のABS(資産担保証券)を買い増しへ」と報じている。欧米のクレジットカード債権や自動車ローン債権を担保としたABSを、価格が魅力的になったとしてナンピン買いしたというのだ。農林中金は今年度に入ってからもこれを続けた、と言われる。

 さらに多くの邦銀が、時価会計の一部凍結という「禁じ手」に踏み込み始めた。

コメント1

「時事深層」のバックナンバー

一覧

「証券化地獄、まだ序の口」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長