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巨大企業をつなぐ不可解な点と線

法務・検察当局が動けぬ理由

  • 児玉 博

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2008年12月11日(木)

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 その丘陵地は大分市の東部になだらかに広がっていた。所有者は大分県土地開発公社。その土地に大分県知事、広瀬勝貞(元経済産業省事務次官)の強い要請で進出したのが「キヤノン」。「キヤノン」はここにデジタルカメラ生産の「大分キヤノン」、プリンター関連の「大分キヤノンマテリアル」の2工場を建設したのだった。

 この際、「キヤノン」側に名代のような人物が登場する。コンサルタント会社「大光」代表、大賀規久という人物である。

 「キヤノン」の2工場進出にあたって「大光」はスーパーゼネコン「鹿島」に用地造成と工場建設を受注させようとわざわざ「キヤノン」の役員名で県土地開発公社幹部あてに上申書のような手紙まで書かせるような周到さで受注を成功に導いていた。

 この結果、「大光」は「鹿島」から約30億円を受領したにもかかわらず、それを申告していなかったことを東京国税局に指摘されたのが事件の発端となったのである。

 「大光」の根回しによって造成工事は「鹿島」が県土地開発公社から76億円の随意契約で受注、「大光」自身もその下請けとして7億円を受注している。また、「鹿島」と「大光」との間では仲介手数料として受注額の3%を支払う契約もなされていた。

 国税局関係者によれば、他の案件を含めると「大光」が仲介し、「鹿島」が受注した総額は500億円を優に超えるという。

 疑惑は脱税だけにとどまらない。申告されなかったカネが裏金として地元政界や大分県選出の国会議員などにばら撒かれているのではないか、という疑惑も持たれているのである。

 だからこそ、東京地検特捜部が東京国税局の告発を受け、大賀の脱税容疑を突破口に政治家を含む強制捜査に乗り出すと見られているのである。

 7月に交代した佐久間達哉、東京地検特捜部長の“初荷”(部長就任後初めて手がける大型独自事件のこと)としては打ってつけの事案と見られていた。だが、福田内閣の突然の瓦解、流動化する一方の政治状況の中、事件が政変を呼び起こすこと、選挙に影響を与えることを極端に嫌う検察は身動きが取れない状況に陥ってしまう。

 7月以降、特捜部が手がけた事件、防衛フィクサーとも呼ばれた秋山直紀の逮捕や西松建設の裏金に絡む業務上横領事件などはすべて佐久間の前任者、八木宏幸(現福井地検検事正)が手がけたものばかりである。“初荷”どころか検察内部の士気は停滞し続けている。

 そうしたことから冒頭の事件も単なる脱税事件、いわゆる“小さな小さな会社の大きな大きな脱税事件”だけで終わるのではないかという観測が強まるばかりだ。

 確かに、「大光」の脱税の時効はまだ先であり、それを考えるならば今即座にやらねばならない必然はない。しかも、法務・検察当局にすれば、特捜事案以上に重要な、1つハンドリングを間違えるならば組織崩壊しかねない案件を抱えているので、それを最優先しているという現実もある。

 それは2009年5月から開始される「裁判員制度」である。

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長