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日本一視察が多いスーパー、ハローデイの“感動経営”(中)

楽しく働く従業員が強い店を作り上げた

2008年12月18日(木)

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(前回「ライバルが目を剥く衝撃の売り場」から読む)

*本文中の写真はクリックすると拡大表示されます。

 12月12日、ハローデイ姪浜店は独特な緊張感に包まれていた。

 この日は2カ月に1度の社長視察、通称「社長フレンドリー」の日である。加治敬通社長が地域ごとの3~4店舗を順繰りに回るフレンドリー。従業員にとっては、日頃の成果を社長に見せる大切な一日である。

 店舗視察はどこのスーパーもしているだろう。ただ、ハローデイのフレンドリーが一般的な店舗視察と異なるのは、従業員が新商品や新しい陳列方法を提案する発表会を兼ねている点。いきおい、ほかのスーパーではまず、お目にかかれないような商品が定番商品に混じって並ぶことになる。

 ここで言葉を尽くすより、フレンドリーのために姪浜店が考えた新商品を見た方が早いだろう。

握りや巻物で作った「寿司ツリー」が店頭に並ぶ

 姪浜店の鮮魚売り場。1万8000円のブリの一本物、9800円のタラバガニなど、ド派手な商品に交じって木箱に入った鍋物セットがあった。数種類のカニの足、有頭エビ、白身魚の切り身、鍋の素などがセットになった商品である。12アイテムが入ったセットで2380円。これは、フレンドリーのために鮮魚担当者が考え出したものだ。

 そのそばには、透明のアクリルケースに入ったイカと太刀魚の刺身。博多人形でも入っていそうなケースになぜか刺身が入っている。1つ580円也。さらに、イカとサーモンで雪だるまの形にしたオードブルセットも。雪だるまはイカ、目や口、背景はサーモンというこの商品。実際に売れるのか定かではないが、これもフレンドリーのために考えたものだ。握りや巻物、ちらし寿司で作った「寿司ツリー」なる商品もあった。

 精肉売り場ではさらに不思議な商品を見つけた。その名も「ワンタンしゃぶ鍋セット」。しゃぶしゃぶ用の肉をワンタンの皮で包んだものだ。奇抜だが、見た目はキレイでおいしそう。精肉部の従業員が必死になって考えた商品という。ほかに、カクテルグラスに入れた馬刺しユッケもあった。

「カニ鍋セット」「ワンタンしゃぶ鍋セット」

タラバガニの右下に映っているのが「カニ鍋セット」。その右は、ワンタンの皮でしゃぶしゃぶ用の肉を包んだ「ワンタンしゃぶ鍋セット」(写真:高口裕次郎、以下同)

「博多人形」「イカだるま」

アクリルケースに入ったイカと太刀魚の刺身。隣はイカとサーモンで作った雪だるま

「寿司ツリー」 

巻き寿司や握り、ちらし寿司からなる「寿司ツリー」も

 フレンドリーのために行われるのは、商品の提案だけではない。

 福岡の繁華街、西新にある西新店では、グロッサリーの担当が「豆乳甘酒」を提案していた。「甘酒に豆乳を混ぜて飲む」という飲み方の提案である。「これが意外においしいんですよ」とはグロッサリー部門の土居政和チーフの弁。精肉担当は、ラム肉とワインを使った料理を、デリカ部は串揚げとフルーツのフォンデュを考え出した。時には、売り場の什器や“魅せ方”の提案もある。

従業員の働く楽しさに火をつける

 悪ノリしているわけではない。「素晴らしい」という社長の一言、「おいしそう」という客の反応を喜びに、従業員は真剣に取り組んでいる。

 「半分はプレッシャー。でも、フレンドリー用の商品がお客様にほめられることもある。それは本当に嬉しい」と姪浜店の鮮魚売り場で働く男性従業員は笑顔で語った。彼はフレンドリーのために、料理の本を読んだり、デリカ売り場を見たり、競合店を視察したり、いつも新しいアイデアを探しているという。

 フレンドリーのために考えた商品がハローデイの定番商品になることも少なくない。

 たとえば、「タイづくし」「ヒラメづくし」といった刺身の「○○づくし」。今でこそ、ハローデイのどの店にも並んでいるが、これは姪浜店がフレンドリーのために考えたものだ。「海鮮しゃぶしゃぶセット」も姪浜店発祥の定番商品。肉のしゃぶしゃぶを見ていて鮮魚の担当者が思いついた。

 このフレンドリー、最終的には順位が付けられる。社長からの表彰に加えて、1位3000円、2位2000円、3位1000円の商品券が賞品としてもらえる。もっとも、現場の話を聞いていると、賞品目当てというよりも、「単純に楽しい」「認められて嬉しい」という動機でフレンドリーのネタを考えている従業員が多い。

 各店舗の発表内容はイントラネット上に掲示され、全社で共有される。近隣の店舗でフレンドリーが行われていれば、実際に見に行く従業員もいる。ゲーム性を織り込んだフレンドリー。従業員のやる気を引き出すだけでなく、新商品や新しい魅せ方といった、技術レベルの向上にも一役買っている。

 ハローデイにはこの種のコンテストや表彰が数多くある。それが、従業員の働く意欲を高めているのは間違いない。従業員のやる気に火をつける――。「ヒーロー賞」もその仕掛けの1つである。

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「日本一視察が多いスーパー、ハローデイの“感動経営”(中)」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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大量陳列、大量販売というのがある程度限界にきているのかなと思います。

松﨑 曉 良品計画社長