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絶望的な粗利益率、数字で見るGM凋落の道

「熱血! 会計物語」の林總氏が見た衰退のワケ

2008年12月19日(金)

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 ゼネラル・モーターズ(GM)が瀬戸際に立たされている。12月14日の報道によれば、GMなど自動車大手に対する上院での救済法案の協議決裂を受け、米政府は12日、140億ドル規模の年越えの運転資金の融資などを考えているという。再建が時間との戦いになってきたということである。

 ビッグスリー(米自動車大手3社)、中でもGMは米国自動車業界の象徴的存在であり続けた。

 ところが、2005年に13年ぶりの赤字に転落すると、その後の業績は目に見えて衰え、ついには国の資金援助なしに年を越せないまでに至った。破綻の足音が耳元まで迫ってきたと言っていい。こうしたGMの衰退を財務諸表ではどのように表現されてきたのか。それは数字から読み取ることができていたのか。そして、GMの再生は可能なのか。誰でも入手できる財務情報を使って検討していきたい。

損益計算書

 絶望的な粗利益率

 最初にGMの衰退が損益計算書にどのように表れていたのか見ていくことにする。過去5年間で、業績の激しい変わり目は2005年だった。13年続いた黒字決算に終止符が打たれ、約1兆円の赤字に転落したのだ。この年を境に業績不振は続き、2007年度の赤字は約3兆9000億円を記録した。

 赤字になったのは、売上総利益(粗利益)が2004年度と比べて、約2兆円減ってしまったからだ。16%あった粗利益率は一気に5%を切ってしまった。粗利益率が低下した理由は収益減少とコストの下方硬直性にあった。ヒット車不在による販売台数の減少で収益が落ち、競争力の弱さによる値引き幅の拡大で利幅が低下した。

  2003 2004 2005 2006 2007
売上高合計 185,837 195,351 193,050 205,601 181,122
売上原価合計 152,872 164,028 183,832 186,689 166,579
売上総利益 32,965 31,323 9,218 18,912 14,543
売上総利益率 17.7% 16.0% 4.8% 9.2% 8.0%
販売費及び一般管理費 (合計) 11,737 25,969 13,003 13,650 14,412
研究開発費 0 0 0 0  
固定資産償却費 5,567 0 0 0  
利息純額(営業) 0 0 0 0  
特別損失(利益) 0 1,584 12,259 11,085 4,521
その他営業費用合計 12,664 4,315 0 0 0
営業利益 2,997 -545 -16,044 -5,823 -4,390
利息純額(営業外) 0 1,400 -1,185 165 -1,863
固定資産売却損益 0 0 0 0 0
その他収益費用(純額) 0 0 0 0 0
税金等調整前当期純利益 2,997 855 -17,229 -5,658 -6,253
法人税合計 710 -1,126 -6,046 -3,046 37,162
税引後利益 2,287 1,981 -11,183 -2,612 -43,415
少数株主利益 0 0 -48 -324 -406
持分法による投資損益 612 720 610 513 524
異常項目前の当期純利益 2,899 2,701 -10,621 -2,423 -43,297
異常損益項目合計 960 0 204 445 4,565
当期純利益 3,859 2,701 -10,417 -1,978 -38,732
1ドル100円で換算

 もう1つは、コストが経営者の思惑通りに下がらなかったからだ(ちなみに、この2つの体質は2008年まで一向に改善されず、ついには致命傷となった)。2005年、GMは北米12拠点の閉鎖と3万人の人員削減を実施した。この結果、粗利率は4.8%から9%に上昇したが、2007年には再び8%に低下した(トヨタは18%)。労働組合が強いため、賃金カットはままならず、しかも休職中の従業員に対して所得を補償する米自動車業界特有の慣行がある。さらに、年金や退職者に対する医療費も負担しなくてはならない。

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「絶望的な粗利益率、数字で見るGM凋落の道」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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