「意味が分からない。筋が通らない。これはアンシャンレジュームとの戦い。裁判でも何でもする。必ず崩す」
医薬品のインターネット販売を規制しようとする厚生労働省。それに断固反対の姿勢を貫くネット業界。両者の攻防戦が大詰めを迎えた2008年暮れ、楽天の三木谷浩史会長兼社長は日経ビジネスの取材に応じ、怒りをぶちまけた。
通じなかった主婦らの陳情
「消費者として、ネットで薬を購入できなくなるのは本当に困ります」

医薬品のインターネット販売を希望する消費者が昨年12月、舛添要一厚労相に陳情した
昨年12月11日、午前10時、厚労省大臣室。1歳の双子と5歳児、3人の子育てに追われる千葉県在住の主婦はそう、舛添要一厚労相に訴えた。ほかにも、障害者や消費者団体の代表など、外出が困難だったり近隣に薬局がなかったりと、ネット通販を重宝する消費者の姿も。極めつきは、ネットで集めた10万人超の署名と、4000人分の規制反対意見。消費者の声とともに連なるのは、ヤフーやNPO法人(特定非営利活動法人)の日本オンラインドラッグ協会など“ネット村”の名前。ネット業界をまとめ、この陳情劇を演出したのは楽天だ。
しかし、こうした努力も虚しく、2009年6月から、ネットを通じて一部医薬品を販売できなくなることが確定的となった。厚労省は2008年12月末、政府の規制改革会議に対し、医薬品のネット販売を一部禁止する方針には変わりがないと回答した。
日経ビジネスにも、2009年の年頭、「2009年6月に施行される改正薬事法の施行規則を改正する省令を、1月中に公布する」と明言した。
販売できない医薬品は、改正薬事法で定義される、副作用のリスクがある1類と2類。薬局などで販売されている大衆薬のうち、「ルル」や「バファリン」などを含む約65%が、規制の対象となる。それらをネットで販売した場合、事業者は処分や罰則の対象にもなる。
楽天はいまだ「まだ省令が出たわけではない」と反対活動をギリギリまで続ける意思を見せる。最終手段は訴訟。楽天は国を相手に、規制の根拠となる厚労省の省令が無効であることを確認する何らかの訴訟に踏み切る準備を、着々と進めている。
厚労省との仁義なき戦いは続く。それは決して楽天のエゴではない。
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