「ニュースを斬る」

もう、そこにある日本のデフレ

データから見えてくるデフレスパイラルの恐怖

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2009年1月15日(木)

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 物価の下落と需給ギャップの拡大が悪循環を起こすデフレスパイラル。1930年代の世界恐慌で猛威を振るったため、深刻なデフレは多くのエコノミストにより恐れられています。わが国は90年代後半のアジア通貨金融危機の際にも、深刻なデフレ発生の危機に直面し、財政・金融政策を総動員することになりました。

食料とエネルギー以外の物価は横ばい

 デフレの恐怖は再来するのでしょうか? 結論から言うと、2009年1月現在、すでにわが国では、物価の持続的下落という意味でのデフレは発生しつつあります。その様子を、消費者物価指数で確認しましょう。

 まず、消費者物価指数の前年同月比を示すグラフを見てみましょう(図表1・消費者物価指数・生鮮食料品を除く総合)。消費者物価指数は、季節調整値があるにもかかわらず、前年同月比で語られることが多い指標です。すると本稿執筆時点で入手可能な最新のデータである2008年の11月時点の数字を見ても、1.0%増となっており、依然として消費者物価は上昇しているように見えます。

図、消費者物価指数(全国、生鮮食料品を除く総合)前年同月比の推移

 しかし、足元の動向を知るためには、季節調整済みの消費者物価指数の水準を見ることが必要です。図表2でその指数を見てみましょう。すると、2008年の9月をピークに物価指数は落ち始めています。このペースで行けば、来年の夏頃までには、高い確率で前年同月比はマイナスとなることでしょう。

 図表2には、もう1つの指標も併せて掲載しています。それは、「食料およびエネルギーを除く総合」という指標です。これは文字通り、食料の価格およびエネルギーの価格を除いて計算した物価指数です。これを見ると、食料とエネルギー以外の国内の物価は、ここのところ横ばい、すなわち安定して推移してきたことが分かります。

図、消費者物価指数の水準(季節調整値)の推移

 2008年夏まで物価が上昇し、インフレが懸念されましたが、実際には、世界的な食料・エネルギー価格の高騰の余波を受けただけで、それ以外の国内的な要因は、物価上昇に全く寄与していなかったということになります。2008年夏以降は、世界的に食料・エネルギー価格が下落してきていますから、今後は国内の物価下落要因になりつつあるのです。

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著者プロフィール

桑原 進(くわはら・すすむ)

元政策研究大学院大学准教授(現内閣府経済社会総合研究所主任研究官)。産業カウンセラー。1989年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。99年在チェコ日本国大使館一等書記官。内閣府、連合総合生活開発研究所などを経て2007年に政策研究大学院大学。2010年8月より現職。著書に『経済指標を読む技術―統計データから日本経済の実態がわかる』(共著)、『データで斬る世界不況 エコノミストが挑む30問』(共著)、『政権交代の経済学』(共著)。



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