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グリーンニューディールの"盲点"

環境問題の世界的権威が占う
ステファン・シュナイダー米スタンフォード大学教授

2009年1月22日(木)

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 バラク・オバマ米大統領は早期の景気浮揚を目指して、2年間で8000億ドル(約72兆円)規模に上る景気対策を打ち出した。施策の中で注目されているのが、いわゆる「グリーンニューディール政策」だ。

 景気対策には、風力発電、太陽光発電、バイオ燃料など石油に代わる再生可能エネルギーの生産を3年で倍増し、住宅200万世帯を省エネ化するといった目標を新たに盛り込んだ。

 「2年間で300万人」という雇用創出目標に、グリーンニューディール政策による創出分は明記されなかったが、オバマ大統領は選挙戦における公約で、再生可能エネルギーの開発・導入に10年間で1500億ドル(約13.5兆円)を投じ、500万人の雇用を生み出すという大胆な目標を掲げてきた。

 環境も雇用も経済成長も。“一石三鳥”を狙う政策は果たして実現するのか──。地球温暖化など環境問題の世界的な第一人者で、歴代政権のコンサルタントも務めてきた米スタンフォード大学のステファン・シュナイダー教授に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス、中野目 純一)

ステファン・シュナイダー氏
(Stephen H. Schneider)
米スタンフォード大学生物科学科と土木環境工学科の教授、同大学ウッズ環境研究所上級研究員などを兼任。1971年、米コロンビア大学で機械工学とプラズマ物理学の博士号を取得。その後、米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙研究所で温室効果ガスと大気中の浮遊物質の役割について研究。72年、米国立大気研究センター(NCAR)の研究員に迎えられ、73年から96年まで同センターの科学者として研究に従事し、「気候プロジェクト」を立ち上げる。気候変動に関する研究やその政策分析の国際的権威として知られる。著書に『地球温暖化の時代─気候変化の予測と対策』(ダイヤモンド社)など。
(写真:加藤 康)

 ――  バラク・オバマ大統領が打ち出したグリーンニューディール政策について全般的にどのような印象を抱いていますか。

 シュナイダー 正しい方向へ踏み出す非常に重要なステップです。前政権の環境政策に比べればかなりの成果を上げるでしょう。ですが、成果は我々が望んでいるほどにはならない。なぜなら、多くの障害が立ちはだかっているからです。

 まず、金融危機によって企業の資金調達が困難になっている。米連邦議会の議員たちとも激しく対立するでしょう。石炭や石油業界の既得権を保護しようとする議員もいれば、SUV(多目的スポーツ車)のような大型車ばかりを作って、環境対応車の開発を怠ってきた米自動車メーカーの擁護に回る議員もいるからです。

 オバマ大統領が環境技術の開発支援に必要な予算を確保するためには、これらの議員と戦って勝利を収めなければなりません。

 もっとも、十分な金額の予算を確保できたとしても、インフラが整備されて石油に代わる再生可能エネルギーが生産されるようになるには数年かかります。5年や10年といった中長期のスパンで見れば、非常に重要な政策ですが、すぐに効果が表れることはありません。

ボトルネックは次世代電力網の整備

 ――  環境技術において、米国企業は海外勢に立ち遅れているという指摘もあります。米国に、グリーンニューディール政策の受け皿になれる技術力を備えた企業はあるのでしょうか。

 シュナイダー 風力発電や太陽光発電の技術を開発している企業はたくさんあります。ただし、それとは別の問題がある。それらの再生可能エネルギーを活用するには、「スマートグリッド」と呼ばれる次世代電力網の整備が必要とされることです。それは一企業が単独で実行できることではありません。

 オバマ大統領もこの問題を理解しているはずです。エネルギー省長官に指名したノーベル物理学賞受賞者のスティーブン・チュー博士らのアドバイスを受け、スマートグリッドの整備に乗り出すでしょう。しかし、それにも5年から10年はかかる。

 いずれにしても、ベンチャーキャピタルに対して、何百社にも上る太陽光発電や風力発電の(クリーンテックと呼ばれる)ベンチャー企業に投資を促すだけでは、不十分であるのは間違いありません。

「地球市民」でなかったブッシュ前大統領の罪

 ――  シリコンバレーの環境ベンチャー企業は、技術力の点で欧州や日本の先行企業に追いつき、追い越すことができるのでしょうか。

 シュナイダー そうですね。残念なことですが、ジョージ・ブッシュ前大統領の下で米国は大きなチャンスを逃しました。彼が環境技術に対して熱心ではなかったからです。彼はオイルマン(石油業界の人間)で、プラネタリーシチズン(地球市民)ではなかった。

コメント2件コメント/レビュー

有効需要を否定したい学派の経済学者が否定しているだけ。経済学は自然科学ではないので、厳密な実験をして、結論を出したわけではない。あの政策をしなければこうなったと言っても、時間は遡れない。環境産業は、国からの金でもうけたいからしているだけ。実際に環境のためになっているかは、だれもしらないし、興味もない。地球は将来寒冷化するから、石油の枯渇が大問題と言っている科学者もいれば、石油が枯渇するので、温暖化しようがないと指摘する人もいる。温暖化は太陽活動によるもので、CO2は気温が上がったから、海に溶けていたのが空気中に出てきただけと言う人もいる。現在はCO2悪玉仮説が一人歩きし、新興宗教やエセ科学化している。ウソ環境対策をまじめに行なって、経済を不況にするのは、大馬鹿である。(2009/02/02)

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「グリーンニューディールの"盲点"」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

有効需要を否定したい学派の経済学者が否定しているだけ。経済学は自然科学ではないので、厳密な実験をして、結論を出したわけではない。あの政策をしなければこうなったと言っても、時間は遡れない。環境産業は、国からの金でもうけたいからしているだけ。実際に環境のためになっているかは、だれもしらないし、興味もない。地球は将来寒冷化するから、石油の枯渇が大問題と言っている科学者もいれば、石油が枯渇するので、温暖化しようがないと指摘する人もいる。温暖化は太陽活動によるもので、CO2は気温が上がったから、海に溶けていたのが空気中に出てきただけと言う人もいる。現在はCO2悪玉仮説が一人歩きし、新興宗教やエセ科学化している。ウソ環境対策をまじめに行なって、経済を不況にするのは、大馬鹿である。(2009/02/02)

『グリーンニューディール』実に聞こえの好い言葉だ。「環境対策」の重要性に何ら異論は無い。然し“オバマ旋風”で再燃している1930年代の「ニューディール政策」が過大評価されている。1980年代の研究で、アメリカが「大恐慌」から脱したのは1954~56年とされている。第二次世界大戦終結後「有効需要政策」の有効性が研究された。その結果「インフレと慢性的財政赤字」の発生が判明した。そのメカニズムを解明したのがミルトン・フリードマンであり、ノーベル経済学賞受賞理由の一つだった。1970年代、NBER理事長マーティン・フェルドシュタインが「財政赤字が経済成長を鈍化させるメカニズム」を解明し、日本を除く先進諸国の政府は「有効需要理論政策」と決別し財政赤字から脱却した。「グリーンニューディール」の様な聞こえの好い言葉に踊らされるべきではない。人々が最低限度の正しい「経済の知識」を持つ事が、現在の実態経済を悪化させず、そして再興する為の最善策だ。(2009/01/23)

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