「今の政治の閉塞や、官僚のやりたい放題に国民は本当に怒っています。国民の税金や保険料の無駄遣いばかり。一方で国民の声を聞く総選挙にも、踏み切らない」
渡辺喜美衆院議員
写真:清水盟貴
1月13日に国民運動を起こすと宣言して、自民党を離党した渡辺喜美・衆院議員(元行政改革担当相)は、そう言いながら大きく目を見開いた。実際、そんな怒りを肌で感じる機会が増えているという。
1月26日。東京都新宿区のホテルで開いた「タウンミーティング」には、当初予定していた300人を大きく超える人々が詰めかけ、急遽会場を広げて500人余りを収容した。
講師は渡辺氏と、連携することを表明した江田憲司・衆院議員(無所属)の2人。会合自体は江口克彦・PHP総合研究所社長が会長を務める地域主権型道州制国民協議会が主催した。「国民の手に政治を奪還する国民運動体の第1回フォーラム」と銘打っただけに、一挙手一投足が話題になる渡辺氏の第一歩として注目された。
「100年に1度の危機だからこそ、100年に1度の政治体制が必要だ。政治主導は非常時にこそ真価を問われる。これまでの日本は官僚内閣制だった。官僚は試験で選ばれたエリート。彼らでは平時モードの域を出られない。予算にしても非常時対応が必要なのに、各省の縄張り主義では行き詰まる。これを本当の議院内閣制にする。つまり国民の手に政治を取り戻す必要があるんです」
麻生内閣は「霞が関の代弁者」
渡辺氏が離党を決めた大きなきっかけは、麻生太郎首相の公務員制度改革に対する“弱腰”にあった、とされる。渡辺氏は離党声明にこう書いている。
渡辺喜美衆院議員の離党届(右)。麻生首相に対する早期解散や定額給付金の撤回など7提案は黙殺された
「麻生総理が天下り公認政令の撤回を明確に否定したことは、麻生内閣が霞が関守旧派の代弁者であることを露呈させた。麻生発言は『天下りを根絶すべし』という国民の声を完全に無視し、この国が相変わらず官僚主導の国民とは断絶した政治を続ける表明にほかならない」
麻生首相は、国会での代表質問に答えて、自身の任期中は公務員が天下り先を転々とする「渡り」は許可しない、と述べた。しかし、その一方で、渡りの許可を定めた政令の廃止は頑として受け入れていない。
「官僚にとって首相は使い捨てです。麻生さんがいくら許可しないと言っても、政令さえ残っていれば、次の首相の時にできる。法律で渡り自体を禁止しているものを、完全に読み替えてしまうこの政令を作らせた官僚組織の執念はすごい。この経済危機が逆に、天下りポストや権限を復活させるカミカゼになりつつあります」
麻生内閣の弱腰に見切りをつけた渡辺氏に、最近、冷ややかなトーンの報道が目立つようになった。離党前はまるでヒーロー扱いだった週刊誌や一部の新聞が、態度をやや変えているのだ。自民党からの離党が渡辺氏1人にとどまり、麻生内閣を揺さぶる“政局”にならなかったことが大きいようだ。「劇団ひとり」というキャッチコピーまで奉ったメディアすらある。
渡辺氏は「政治記者の多くは自民党の幹部に話を聞くわけだから、記事が私に否定的になるのは当たり前」と意に介さぬ表情だ。しかし、いったい1人(江田氏を入れて2人)で何をやろうとしているのか。
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