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派遣切りが生む「顧客切り」

コールセンターに見る「消費者重視」の真実味

  • 池田 信太朗,鈴木 裕美

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2009年2月16日(月)

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 1月中旬、東京・新宿のオフィスビルにある会議室は、数十人の男女で埋め尽くされた。

 コールセンターの国際的な認証規格「COPC-2000」の日本での認証、コンサルティングを手がけるプロシード(東京都新宿区)による企業向けセミナーの会場だ。参加者の多くは、コールセンターの運営担当者たちだった。

 演題は「コールセンターのコスト削減について」。参加希望者が殺到して会議室に収まりきらず、急遽2回に分けて開催することにした。プロシードの西野弘社長は「それだけ困っているということでしょう」と嘆息する。

 「コールセンターに対するコスト削減の圧力はこの数カ月間、日に日に増している。閉鎖や縮小も視野に入れて再構築を検討させられている担当者も多い。『コスト削減』という言葉に対するこの反応の大きさがそれを物語っています」。西野社長は言う。

9割以上が非正規社員

コスト削減のしわ寄せは、従業員の待遇悪化となって表れている。

 求人情報提供サービスを手がけるリクルートによれば、コールセンターで顧客にアフターサービスを提供するオペレーター(電話対応)の募集時の平均時給は下落傾向にある。落ち込みの激しい東海地方では、2007年12月の1069円から2008年12月には947円と11.4%も低下した。

 センター自体を閉鎖する動きも出ている。米国では、世界第2位のパソコンメーカーであるデルが昨年2月、効率化のためとしてカナダ・アルバータ州の約900人が働くコールセンターを閉鎖した。この2月には、高級キッチン用品専門店のウィリアムズ・ソノマも従業員の18%に当たる1400人を削減のうえ、コールセンターも一部、閉鎖すると報道された。

 日本では、商品先物取引のハーベストフューチャーズ(東京都中央区)が昨年7月、沖縄のコールセンターを閉鎖した。2005年春の開設時には順調だった売買が、世相を反映して減少。業績が低迷し、人件費との見合いで採算が合わなくなったためだ。センターで行っていた電話による問い合わせ対応は、現在、東京本社の顧客サービス部のスタッフが兼務している。

 大阪の岩井証券は今年1月、全国に16カ所あった営業所兼コールセンターのうち、大阪・千里中央と岡山の2カ所を閉鎖した。「昨年9月のリーマン・ブラザーズ破綻後、証券市場が悪化し、先行きの見通しが厳しくなった。経費削減の一環」だ。

 岩井証券はこれまで地域密着のきめ細やかなサービスに力を入れてきた。1996年からコールセンターを開設して、営業担当の正社員を配置。電話で気軽に相談を受けることで、顧客満足度を高めてきた。そのサービスの柱すら、手放すという。

 なぜ企業は「コールセンター切り」に走るのか。

 答えは単純。「儲からないから」だ。商品の購入者に対するアフターサービスなどの業務は、中長期的な顧客満足度の向上を目指したものであり、少なくとも短期的には利益を生まない。

 「顧客重視」を標榜しながらも、コールセンターにはコストをかけたくない。この二律背反に頭を悩ませる企業にとって、コールセンターは以前からコスト削減の草刈り場だった。

 コールセンターの就労者は全国で70万~100万人とされる。『コールセンター白書2008』(リックテレコム)によると、2007年に企業が雇用したオペレーターのうち正社員は7.1%で、残りの90%以上で派遣社員やパートタイマーなどの非正規雇用者を活用している。

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