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禁断のマネー増発、挑む価値あり

GDPマイナス12%はこれで克服する

  • 竹中 正治

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2009年2月18日(水)

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 2008年10~12月期の日本の実質GDP(国内総生産)はマイナス12.7%(前期比年率)に落ち込んだ。日本は、世界の主要国と同様、金融緩和と財政支出による景気刺激策に取り組み始めている。しかし、金融、財政政策ともに日本ではその効果について楽観的な声は聞こえてこない。

 それはそうだろう。量的金融緩和によるマネー市場のゼロ金利状態は2006年にようやく解除されたが、金利は0.5%に上がっただけだ。それを再びゼロ金利近傍に戻しても景気が救われるとは誰も思っていない。財政支出の拡大で景気対策をするしかないが、既に1990年代の度重なる景気対策の結果、GDP(国内総生産)比率で見て日本の政府長期債務残高は先進諸国中最大だ。そこにまた輪をかけて政府債務を積み上げるのかと思うと気が重い。

 そこで登場してきたのが「政府券(政府紙幣)」発行による財政政策だ。日銀券と異なる政府券は政府が直接に発行する紙幣であり、償還期日も利息の支払いもない。

皆がマネーを蓄え、消費を減らせば不況になる

 元財務官僚で現在東洋大学教授の高橋洋一氏は「現下のGDP需給ギャップに相当すると考えられる25兆円の政府券を1枚発行し、これを日銀で日銀券と交換させる。それで得た日銀券25兆円を政府が国民に給付すれば、デフレ期待は解消し、同時に有効需要を増加させることができる」と説く。

 償還期日のない永久国債をゼロクーポンで発行して景気対策に使うのも、政府券の発行と原理的に同じである。既に政府紙幣と無利子国債の発行を検討する議員連盟の設立準備会が開かれたという。

 しかし「資産の裏づけもない政府紙幣を増発すれば、インフレになるだけで経済は実質的に拡大しない」「円という通貨の信認が崩壊する」など、政府、日銀、財政学者、金融学者の意見はほとんど皆、否定的である。さて読者諸兄はどう思うか。この問題を考えてみよう。

 そもそも不況とはなぜ起こるのだろうか。

 ポール・クルーグマン氏は著書『Peddling Prosperity: Economic Sense and Nonsense in the Age of Diminished Expectations』(1995年刊、邦題は『経済政策を売り歩く人々──エコノミストのセンスとナンセンス』、日本経済新聞社刊)の中で、スウィニー夫妻による“ベビーシッター協同組合の危機”という論考を紹介して、すべての不況に共通する本質と、それに対する金融・財政政策の有効性を軽妙に語っている。ご存じの方もいるだろうが、まずそれを紹介しよう。

「ベビーシッター協同組合の危機」が意味すること

 夫婦共稼ぎ世帯が多く、アフターファイブの社交生活がカップルでの参加を前提にできている米国では、幼い子供を抱える若い夫婦にとって外出にベビーシッター・サービスは欠かせない。こうしたニーズを持つワシントン地区の夫婦たちがベビーシッター・サービスを相互に提供し合う「ベビーシッター協同組合」を作った。

 協同組合はベビーシッター・サービスを受けることができるクーポン券を一定枚数発行し、会員に配る。会員は他の会員にサービスを提供するとクーポン券を受け取り、自分がサービスを利用する時はクーポン券を払う。

 ところがしばらくすると組合は問題に直面した。流通するクーポン券が不足するようになったのだ。その原因はクルーグマン氏の著書では明示的には書かれていないが、例えば会員が多くなれば不足が起こるだろう。その結果、クーポン券の蓄えを増やそうと外出を控え、サービスを提供しようとする会員が増えた。

 しかし、皆がそのように行動したのでクーポン券を払う人(=サービスを利用する人)はますます減り、意図に反して外出を控えざるを得ない会員がますます増えてしまった。

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