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中国の就職難、農村からの出稼ぎ向け求人に大学卒が殺到

「農民工」と「大卒生」の不満が合体すれば社会不安が

2009年2月17日(火)

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 毎年春節(農暦の正月)の長い休暇が終わると、「渡り鳥」という俗語で呼ばれている農民工たちの求職活動で中国各地の都市は騒々しくなる。

 農民工とは、主として貧困地帯である内陸部の農民が沿海部等の都市に出稼ぎに出て肉体労働に従事する人々のことを指す。日本でも3K(危険、汚い、きつい)という言葉があったが、中国でも都市労働者が従事したくない職場で働くブルーカラーが多く、非人間的な扱いを受けているケースも見られる。

 今年の春節は西暦の1月26日。春節休暇は大晦日の1月25日から1月31日となっていた。したがって2月に入るとすぐに、「渡り鳥」たちは最低限の日常品を包み込んだ荷物袋を携え、お金を稼ぐ現場を求めて都市へやってくる。

 しかし、今年は金融危機の影響で建設業者がなかなか工事を始めない。しかも、農民工に交ざって、求人会場には大学生が殺到しているのだ。

「この就職難、農民工向けの就職先だって見逃せない」

 2009年2月8日の「南方都市報」は「大学生殺進農民工招聘専場」(大学生が農民工専門の求人会場に殺到した)というタイトルで、この状況を次のように伝えている。

 2月7日、広州で始まった「春風行動2009」という求人会場の一つには200社ほどの求人企業が集まり約6000人の農民工の募集を行ったが、その中に専科(日本の専門学校に相当)や本科(4年制学部に相当)の大学生たちが履歴書を持参して殺到した。

 南方都市報の記者が取材した周くんは河南省にある大学本科で電子情報工程を学んでいる学部4年生。彼は「これまでの就職難にさらに金融危機が加わったのだから、今年はもっと厳しくなる。どこもここも本科生の就職探しで一杯なので、考え方を変えるしかない。農民工の求人会場だからって、おろそかにはできない」と考え、ここに駆け付けた。

 関くんは広東広播(放送)電視(テレビ)大学の4年生。専門は物流。クラスメート3人とともにやってきた。月1500元(約2万円)を下回らない程度の収入なら受け入れるつもりだ。

 この会場に集まった求人の平均的な月収は、無技術者が1000~1200元、初級工が1300~1500元、中級が1500~2000元、高級が2500~3000元というから、まあ悪くない(ただし賃金未払いという普遍的現象が起きなければの話だが)。金額だけで見れば、大卒生だって殺到するだろう。

相場の半分だって我慢する

 「北方網」の記者も同じ会場に取材に行き、当日の模様を以下のように報道した。タイトルは「大学生与農民工搶飯碗(大学生と農民工が飯碗を奪い合う) 期望月薪僅農民工一半(希望月収は農民工のわずか半分)」。

 12月7日に広州で開催された「農民工向けの求人会場」では、主として機械修理、旋盤工、組立工、溶接工、裁縫工、ボイラー工、水電工等の技術系や、レストラン、門衛等のサービス業の求人が目立った。

 この会場で注目されたのは、農民工に交ざって大学生がピカピカの履歴書を持参して会場を回っている姿だった。しかも履歴書の「希望月収」の欄に書かれている数値は、なんと平均して1000元(約1万3000円)前後。農民工の平均月収の半分だ。

 農民工の旋盤工従事者の月収は2000元。「老渡り鳥」と呼ばれる熟練工ともなると、たとえ相手が農民工といえども4000元は出す企業が多い。しかも彼らは良くて中卒(北方網の記事はここまで)。

 田舎の親がなけなしの金をはたき、隣近所や親戚から借りて、それこそ血を絞るようにして掻き集めた金により都会の大学で4年間も大学生活を過ごした若者たちは、学士学位を手にしながら、(教育投資という意味では)ようやく中学を出たレベルの農民工よりも少ない給金で働こうというのである(念のため申し上げておきたいが、私には学歴で人を区別する気持ちは皆無である)。

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「中国の就職難、農村からの出稼ぎ向け求人に大学卒が殺到」の著者

遠藤 誉

遠藤 誉(えんどう・ほまれ)

筑波大学名誉教授

1941年、中国長春市生まれ、1953年帰国。理学博士。中国で国務院西部開発弁工室人材開発法規組人材開発顧問、日本では内閣府総合科学技術会議専門委員などを歴任。2児の母、孫2人。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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