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米国、GM救済の前にやるべきこと

  • 神谷 秀樹

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2009年2月20日(金)

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 米ゼネラル・モーターズGM)と米クライスラーが、昨年末に続き改めて米政府に資金援助を申し入れた。その金額は2社合計で216億ドル(約2兆円)だ。救済は、2社以外にも自動車部品メーカーも求めており、その額は255億ドル(約2兆3000億円)。米国の自動車産業は、合わせて4兆円以上の巨額の資金を求めていることになる。

 経営危機の淵にある企業が求めるこうした資金は、時を追うごとに増額してくるのが常。バラク・オバマ政権は、来週までには何らかの形での回答を示すと見られる。その決定はもはや経済的というよりも、政治的な視点から行われるのだろう。

 筆者は、オバマ大統領の熱狂的と言っていいほどの支持者だ。しかしながら、1人の納税者として、17日に署名して成立した総額7870億ドル(約72兆円)の景気対策法など一連の景気刺激策には、全く賛成しかねる。米国の病理を抜本的に修正していく手立てを示さぬまま、「100年に1度」という非常時だからとカネをばらまいても、また同じ過ちを繰り返すだけだからだ。

病理、稼ぐ前に借りた金で浪費する

 米国の病理の1つは、とみに増えてきたそれこそ異常な消費行動だ。例えば、個人消費。米国のGDP(国内総生産)の7割は個人消費だが、その大部分は「稼ぐ前に借りた金で消費(浪費)する」というものだった。

 米国の場合、自動車購入の9割はローンまたはリースによる。そこで自動車会社は「頭金なし」、さらに大した審査もしないで、消費者にある意味でカネをばらまいてきた。金融を販促手段として使ってきたのだ。

 米国発の世界的な金融危機は、こうした米国の身の丈以上の消費を煽る文化が自爆したものだ。国民に今必要なのは、健全な金銭感覚の復活と、物質至上主義的な価値観からの離脱である。

 現在、米国民の1人当たりの負債額は約11万ドル(約1000万円)と、借金漬けの状態だ。返済するには、収入や資産が必要だが、雇用環境は厳しい。FRB(米連邦準備理事会)は18日、2009年10~12月期の平均失業率を8.5~8.8%とする見通しを発表した。前回(2008年10月時点)の見通しは7.1~7.6%だったので、大幅に引き上げられたことになる。

 個人資産の状況も厳しい。昨今の株価の大幅な下落などの影響を受けて、積み立ててきた年金は半分になっている。住宅価格も2割は値下がりしている。

 浪費できる環境も、浪費する余裕もなくなって、国民は消費から貯蓄に行動を移し始めている。それは皮肉なことに、浪費に支えられてきたビッグスリー(米自動車大手3社)にとっては、在庫の急増、設備の過剰という重しを加えることになる。

過去最大の財政赤字を4カ月で上回る

 こうした状況で、自動車産業救済のために政府は財政支出をしても、意味を持つのであるろうか。今年1月の米国の財政赤字は、838億1500万ドル(約7兆5000億円)と1月としては過去最高だった。昨年10月からの累積赤字は約5700億ドル(約51兆円)とわずか4カ月で、2008年度(2007年10月~2008年9月)の4548億600万ドルを上回ってしまった。

 ちなみに2008年度の赤字の規模は過去最大だ。今年度は昨年度をはるかに上回る規模の財政赤字になる勢いだ。政府にカネがない中で、いったい誰が日本円で何兆円もする巨額の資金を出すのであろうか。

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