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政府支援にすがる欧米の環境車ベンチャー

日本車メーカーにしわ寄せも

  • 石黒 千賀子,山崎 良兵

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2009年2月24日(火)

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 次世代の環境対応車として期待を集める電気自動車が、壁にぶつかっている。金融危機に端を発する世界的な信用収縮の波は、米ビッグスリーなどの大手メーカーだけでなく、新興の電気自動車メーカーまでものみ込もうとしているからだ。

 欧米の衝突安全基準を満たし、有力視されていたノルウェーのオスロに本社を置くシンク・グローバルの迷走は、その象徴と言えそうだ。

 シンクが昨年6月に北欧で発売した2人乗りの電気自動車「シンク・シティ」は、昨夏には2000台を超える受注残を抱えるなど、好調な出足を見せていた。同社は日産5台だった生産能力を、今年6月には2交代で日産44台、年産にして1万台に拡大する計画を掲げていたが、昨年12月、資金繰りに行き詰まった。

生産中止に追い込まれたシンク・グローバルの組み立て工場(ノルウェー・オスロ郊外)

生産中止に追い込まれたシンク・グローバルの組み立て工場(ノルウェー・オスロ郊外)

 ノルウェー政府に支援を求めたものの、「特定企業を救うのは政府の方針ではない」と拒否され、「法定管理(日本の会社更生法に相当)」を申請。生産ラインの停止を余儀なくされた。

 「投資家のクリーンエネルギーへの投資意欲が、秋以降、原油価格の下落もあって、一気にしぼんだ。特に自動車産業というセクターに対する投資に神経質になった。環境に優しい電気自動車であっても、例外ではない」。シンクのリチャード・カニーCEO(最高経営責任者)はこう説明する。

 操業停止の影響は当然、部品メーカーにも及ぶ。シンクに対し、年間7000万ドル(約63億円)のリチウムイオン電池を供給する契約を結んでいた米国の新興電池メーカー、エナデルの太田直樹COO(最高執行責任者)は、「量産まであと一歩の段階でこんな事態に陥るとは、考えもしなかった」と悔しそうに話す。

GEの追加投資も期待できず

 シンクはエナデルにとって最大の顧客だ。電池事業を軌道に乗せる狙いからエナデルの親会社は今年1月、シンクに対し570万ドル(約5億1300万円)のつなぎ融資を実施した。これを受け、シンクは、レイオフ(一時帰休)した社員の3分の1に当たる44人を呼び戻し、現在、操業再開に向けて準備を進めている。

 とはいえ、今後の本格的な量産開始には、さらに4000万ドル(約36億円)が必要となる。シンクは昨年春、米ゼネラル・エレクトリック(GE)から投資を受けたことで一気に注目を集めた。だが、業績悪化と株価低迷に悩むGEからこれ以上の大きな投資は期待できそうにない。

 カニーCEOは「具体名は挙げられないが、既存の投資家と新たな投資家から合計4000万ドルを集めるメドはついた。3~4月には生産を再開できる見通しだ」と強調する。

 昨年は250台を納車し、今でも受注残を1100台抱えているという。それだけに、カニーCEOは強気の姿勢を崩さないが、現在の投資環境を踏まえると、トップの思惑通り、資金繰りがつくかどうかは予断を許さない。

 スポーツカータイプの電気自動車を開発する米ベンチャー、テスラ・モーターズも資金繰りに悩まされている。同社のイーロン・マスク会長兼CEOはインターネットを使った決済サービスで有名な米ペイパルの創業者。IT(情報技術)分野では、自由競争における勝者となったが、環境対応車では、政府の支援に頼る姿勢を鮮明にする。

 「(2011年に発売を予定する新型セダンの)『モデルS』を量産するために申請した3億5000万ドル(約315億円)の政府融資を、今後4~5カ月以内に受けられる可能性がある。その連絡を、2月上旬に米エネルギー省から受けた」(マスク会長)

 バラク・オバマ新政権が打ち出した環境対応車の投資に対する低利融資の制度を活用する方針だ。しかし、支援が確定しないうちに公表するという“フライング”は、テスラが置かれている経営環境がそれだけ厳しいことの裏返しでもある。

コメント3件コメント/レビュー

これまでの内燃機関を使った自動車は、その歴史的役割を終えたと言って良いのではないだろうか。どのような産業でも衰退期があるように従来の自動車は、衰退期にある。これに取って代わるのは、電気自動車だろう。電気自動車は、金持ちしか買わないから贅沢品で、其れを生産する企業に公的資金を投入できないと言うのはおかしいと思う。どのような商品でも勃興期の商品は、開発費が転嫁されたり量産が出来ないことから高価格になる。高価だから金持ちが買うことになる。電気自動車は、次世代を担う重要な産業になると革新する。日本はこの分野では、他に先駆けて素晴らしい技術を持っている。関連企業は勿論、政治も全力を挙げて世界トップの座を確定せねばならないと思う。(2009/02/26)

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これまでの内燃機関を使った自動車は、その歴史的役割を終えたと言って良いのではないだろうか。どのような産業でも衰退期があるように従来の自動車は、衰退期にある。これに取って代わるのは、電気自動車だろう。電気自動車は、金持ちしか買わないから贅沢品で、其れを生産する企業に公的資金を投入できないと言うのはおかしいと思う。どのような商品でも勃興期の商品は、開発費が転嫁されたり量産が出来ないことから高価格になる。高価だから金持ちが買うことになる。電気自動車は、次世代を担う重要な産業になると革新する。日本はこの分野では、他に先駆けて素晴らしい技術を持っている。関連企業は勿論、政治も全力を挙げて世界トップの座を確定せねばならないと思う。(2009/02/26)

本誌の別のコーナーで、宮田教授がリチウム電池を薄型テレビと同じように殺すな、新しいビジネスモデルを構築するべしと言っています。日本にとってエネルギーは、大変重要な問題であるはずで、リチウム電池が将来の産業に与えるインパクトを考えるなら日本政府としてもっとちゃんとした”国家”戦略を考えるべきなんでしょうが。やはり、こうした国家戦略を考えるのがへたな日本の役人では、国際競争にまた負けてしまうのではないでしょうか?きっちりと立てた戦略で日本での会社雇用も生まれてくるでしょうし、輸出産業も盛んになり税金も増えるんでしょうが。いやはや、なさけない限りです。この分野でも、まだ日本が進んでいるから 大丈夫などと言っていると太陽電池や薄型テレビ同様 他の国にやられてしまう日もどんどん近くなると言えるでしょう。なんとか 出来ないんでしょうか?(2009/02/24)

欧米では、大小様々なエコカーの開発プロジェクトが興っている。然し、その名を借りたお粗末な「金儲け」の様な物すら存在す。欧米の自動車専門メディアが最も注目しているのが、イギリスのゴードン・マーレイが手掛ける『T25』だ。自動車/レース両業界で天才の誉れ高いマーレイには、複数の投資家が巨額の投資を決定し、自動車業界で著名な技術者多数が同プロジェクトに参画している。このプロジェクトの成果が、世界の自動車産業に大きな影響を及ぼすと、欧米の自動車専門メディアは期待している。前述のノルウェーは、同国の最古最大の企業だったキュベルナーが、同社の存続と発展の為に、祖国を捨てイギリスに移転する様な産業基盤の国家だ。ひとつ申し上げたい。アメリカの自動車業界では、既に「ビッグスリー」とは呼んでいない。『デトロイト・スリー』だ。何故ならば、トヨタのケンタッキー州/アラバマ州等で生産される自動車は、フォードに次いで第三位だからだ。アメリカの自動車業界専門紙では、デトロイト・スリーにトヨタ/ホンダ/日産を加え『ビッグ・シックス』と呼んでいる。(2009/02/24)

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