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SFCG、3度目の危機に沈む

ノンバンクを襲う三重苦、景気の下振れ増幅も

  • 蛯谷 敏,小瀧 麻理子

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2009年3月3日(火)

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 その人の頭上に金貨が降り積もり、やがて、金の鳥に姿を変え、空に羽ばたいていく――。

 現実離れした映像が続く約30分の自主制作ビデオ。主演は大島健伸氏。商工ローン最大手SFCG(旧商工ファンド)の会長である。

 時は2028年、隆盛を極める同社が過去20年の歩みを振り返るという設定で、観賞した人物によれば大島氏はまるで神がかったような姿で描かれている。昨年秋に、社内を鼓舞するために同社が急いで作ったという。

 しかし、現実は違った。ビデオ制作から約半年後の2月23日。SFCGは東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請した。負債総額は今年最大の3300億円超。同日午前、東京証券取引所で記者会見した大島氏は「金融危機で金融機関からほとんど資金が借りられない状態となり、(昨年9月の)リーマン・ブラザーズの破綻以降はもっとひどくなった」と、うなだれた。そこにはビデオで演じた強気な姿勢はなかった。

 1978年、大島氏が創業したSFCGは大手金融機関が手がけなかった中小企業向けの小口ローンを開拓し、事業を急成長させた。規制で守られた金融業を変革するベンチャービジネスの旗手として期待されたこともある。

 ただ、急激で強引な事業拡大は大きな摩擦を引き起こしたうえに、経営は度重なる難局に直面してきた。

 社内関係者によれば、大島氏はこれまでも2回、同様のビデオを作製している。

難局のたびに作ったビデオ

 最初は90年頃、金融機関のノンバンク向け融資に総量規制がかけられていた時期だ。2度目は過剰な高金利や強引な取り立てが社会問題化し、同社への激しいバッシングが起きた2000年頃。いずれも、難局に当たって社内を勇気づける目的で作られたという。冒頭の昨秋制作のビデオは3回目に当たる。

 だが、3度目の危機は乗り切れなかった。関係者によれば、昨年8月、不動産大手のアーバンコーポレイションの破綻前後から危機感を強めた大島氏は、資金調達先を確保するために、シンガポール、マレーシアなど東南アジアの投資家の間を奔走。状況悪化が進んだ昨年末には商工ローンから近い将来、撤退することを周囲にほのめかしていた。「債権買い取りなどに軸を移せば、金融庁の所轄から外れる。貸し付けビジネスから逃れたいんだ」。強気なビデオの裏で、大島氏はノンバンクの事業モデルの限界を悟り、必死で事業転換を模索していた。

 SFCGが破綻に追い込まれた理由は3つある。

図、SFCGの無担保融資残高と利息返還損失引当金の推移

SFCGの無担保融資残高と利息返還損失引当金の推移

 1つは、2006年12月に成立した改正貸金業法。従来、29.2%だった上限金利は、2009年末までに段階的に20%まで引き下げられる。これによってSFCGが得意客としてきた信用力の低い企業への融資は事実上、封印された。稼ぎ頭だった事業者向け無担保融資の残高はみるみる低下、2006年7月末に3207億円あった貸出残高は、2008年7月末には2355億円と3割近く減った。

 収益の源泉とも言える事業者向け無担保融資が減る一方、利益を圧迫するコストは急増した。その主因が、2005年頃から増え始めた「過払い金返還請求」だ。事業者ローンの利用者が、利息制限法の上限(年15~20%)を超えて払い過ぎた利息の返還を要請してきたのである。その金額は2006年下期以降に急増。利息返還請求向けにSFCGが積んだ引当金は、2006年7月末の18億3300万円から2008年7月末には134億5400万円に膨れ上がった。

 売り上げは減り続け、コストは増える一方――。改正貸金業法と過払い金返還請求は、じりじりとSFCGを追い詰めていった。資金調達のために、銀行を駆け回っても、邦銀の多くは事業環境が不透明で返還請求を巡るトラブルも多数抱える同社への融資に二の足を踏んだ。応じたのは高金利の社債を引き受ける外資系金融機関だけ。2006年7月期に200億円だった社債による資金調達は、2008年7月末には409億円にまで倍増していた。

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牛島 信 弁護士