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代表秘書逮捕、検察強制捜査への疑問

民主党は率直に反省し、政治資金透明化の好機とせよ

  • 郷原 信郎

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2009年3月11日(水)

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 遅くとも半年余り先には「天下分け目」の衆議院議員総選挙が確実に行われるという時期に、世論調査では、次期総理候補の人気で麻生首相を圧倒的にリードしている民主党小沢一郎代表の公設第一秘書が、東京地検特捜部に逮捕され、日本中に大きな衝撃を与えた。

 容疑は、政治資金規正法違反。小沢氏の資金管理団体である陸山会が、西松建設から政治資金の寄附を受け取ったのに、それを同社のOBが代表を務める政治団体からの寄附であるように政治資金収支報告書に記載したことが虚偽記載に当たるというものだ。

 これに対して、小沢氏側は、記者会見で、容疑を全面的に否定、検察の捜査が不公正だと批判、民主党側からは「国策捜査」との批判も行われた。その後、小沢氏の会見での発言内容に反する事実が各紙で大きく報じられたこともあって捜査批判はトーンダウンしつつあったが、内閣官房副長官が「自民党側には捜査は及ばない」と発言したことが問題になったこともあって国策捜査批判が再燃。検察は、他地検の検事も増員して同じ政治団体から寄附等を受けていた自民党側議員にも捜査の対象を拡大すると報じられている。

 100年に1度とも言われる経済危機が深刻化する最中、政治を大混乱に陥れている今回の事件だが、検事時代、自民党長崎県連事件など多くの政治資金規正法違反事件を捜査してきた私の経験からすると、今回の検察の捜査にはいくつかの疑問がある。

 しかし、小沢氏はその問題とは切り離して今回の問題について率直に反省し、民主党は政治資金の透明化に向けて新たな取り組みをしていく好機と捉えるべきである。

違反の成立に問題はないのか

 まず、小沢氏側の会計処理が本当に政治資金規正法違反と言えるのかどうかに問題がある。

 この法律では、「寄附をした者」を収支報告書に記載することとしており、陸山会の収支報告書では西松建設のOBが設立した2つの政治団体が寄附者として記載されている。その記載が虚偽だというのが今回の容疑だが、政治資金規正法上、寄附の資金を誰が出したのかを報告書に記載する義務はない。つまり、小沢氏の秘書が、西松建設が出したおカネだと知っていながら政治団体の寄附と記載したとしても、小沢氏の秘書が西松建設に請求書を送り、献金額まで指示していたとしても、それだけではただちに違反とはならない。

 政治資金規正法違反になるとすれば、寄附者とされる政治団体が実体の全くないダミー団体で、しかも、それを小沢氏側が認識していた場合だ。捜査のポイントはこの点を立証できるかどうかだが、全国に数万とある政治団体の中には、政治資金の流れの中に介在するだけで活動の実態がほとんどないものも多数ある。西松建設の設立した政治団体が全く実体がないダミーと言えるのかは、微妙なところだ。

 もちろん、政治資金の流れの透明性を高めるという政治資金規正法の目的から考えると、実質的な拠出者も収支報告書に記載して公表するのが望ましいことは確かだが、政治資金の規正は、ヤミ献金をなくし、収入の総額を正確に開示することを中心に行われてきたのが現実で、資金の実質的拠出者の明示の公開とは程遠い段階だ。法律の趣旨を達成するために今後実現していくべきことと、現行法でどこまで義務付けられ、罰則の対象とされているのかということとは別の問題だ。

コメント36件コメント/レビュー

論理的かつ冷静な分析で大変感銘を受けました。読者コメントの中で、著者の論理展開とは別のところ、すなわち小沢代表のクリーンとは言いがたい経歴についての指摘がありますが、私は政治家に清廉潔白さを期待するほうに無理があると思います。もちろんそれが理想ですが、現在の日本の社会システムからしてそれが空虚であることは明らかです。政治には資金が必要であり、それに対応する法制度が整っていないのですから、グレーな話が出てくるのは必然でしょう。そこはもう目をつぶる、ビジョンを持って政治をしてほしいの一念です。政治資金集めがグレーであっても、それで国益のための政治活動を行ってくれるならよしとします。小沢代表にこの国を託していいかどうかは別として、漢字も読めない首相や酔っ払って国際会議に出席する大臣がいる(いた)政権にはご退席頂き、いったん政治をシャッフルする機会を潰しつつある検察の今回の対応およびマスコミの報道の仕方に、やるせなさを感じます。(2009/03/27)

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いただいたコメント

論理的かつ冷静な分析で大変感銘を受けました。読者コメントの中で、著者の論理展開とは別のところ、すなわち小沢代表のクリーンとは言いがたい経歴についての指摘がありますが、私は政治家に清廉潔白さを期待するほうに無理があると思います。もちろんそれが理想ですが、現在の日本の社会システムからしてそれが空虚であることは明らかです。政治には資金が必要であり、それに対応する法制度が整っていないのですから、グレーな話が出てくるのは必然でしょう。そこはもう目をつぶる、ビジョンを持って政治をしてほしいの一念です。政治資金集めがグレーであっても、それで国益のための政治活動を行ってくれるならよしとします。小沢代表にこの国を託していいかどうかは別として、漢字も読めない首相や酔っ払って国際会議に出席する大臣がいる(いた)政権にはご退席頂き、いったん政治をシャッフルする機会を潰しつつある検察の今回の対応およびマスコミの報道の仕方に、やるせなさを感じます。(2009/03/27)

国策捜査にピンとこなかったのですが、記事とみなさんのコメントを読み、これは政権交代されると困る官僚のしわざと確信することができました。小沢さんのグレーさは今後、それをどうしてゆくかにかかると思います。でも、まずは政権交代。官僚から主権を取り戻さなければいけないですね。(2009/03/13)

公平な立場で書かれた好感の持てる記事です。私も、今回の強制捜査は、今の極めて重要な政治情勢の中で行うには、無神経過ぎるやり方だったと思っています。もっと緊急かつ重要なやるべきことがある中で、今回の捜査が世の中の視線をあらぬ方向に捻じ曲げた責任は大変大きいといえるでしょう。どうしてくれるんだ、と言いたい。小沢氏は、この捜査への対応と党首としての政治活動を分けるべきという観点から、とりあえず党首の座を降りて、別の人間に党を任せるべきでしょう。それで政治が緊急課題に向かうことで、民主党の支持も回復すると思います。(2009/03/13)

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