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「ガダルカナル」化する特捜捜査

「大本営発表」に惑わされてはならない

  • 郷原 信郎

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2009年3月17日(火)

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 民主党小沢代表の公設第一秘書の大久保氏が東京地検特捜部に、政治資金規正法違反(政治資金収支報告書の虚偽記載罪)の容疑で逮捕されてからおよそ2週間。衆議院議員総選挙を控え、極めて重大な政治的影響が生じるこの時期に、比較的軽微な政治資金規正法違反の事件で強制捜査に着手した検察側の意図、捜査の実情、今後予想される展開が、おぼろげながら見えてきた。

捜査は当初から想定された展開ではない

 この時期に検察があえて強制捜査に着手したことについて、「国策捜査」などの見方もあったが、どうやら、今回の検察の強制捜査着手は、これ程までに大きな政治的影響が生じることを認識したうえで行われたのではなく、むしろ、検察側の政治的影響の「過小評価」が現在の混乱を招いているように思える。

 その推測の根拠は、今回の強制捜査着手後に、東京地検の特捜部以外の他の部のみならず、全国の地検から検事の応援派遣を受けて行われている事実だ(3月8日付毎日)。

 検事の異動の大半は、定期異動で行われる。全検事のうちの3分の1近くが一斉に異動する年度末を控えたこの時期、事件の引き継ぎの準備を行いながら、捜査・公判の日常業務を処理しなければならない全国の地検はただでさえ多忙だ。そのような時期の応援検事派遣には検察部内でも相当な抵抗があるはずである。

 ましてや、今年5月には裁判員制度の施行を控えており、検察は、この制度を円滑に立ち上げることに組織を挙げて取り組んできたはずだ。この時期、定期異動に伴う繁忙を克服して、裁判員制度開始に向けての総仕上げを行うことが、裁判員制度導入の中心となってきた樋渡利秋検事総長の下の検察にとって、何はさておいても優先させなければならない事柄だったはずだ。

 そのような時期に、今回の特捜捜査に大規模な戦力投入が行われていることで、検察の他の業務に重大な影響が生じていると思われる。特捜部が担当する脱税事件、証券関係の事件の捜査処理の遅延だけではなく、裁判員制度の対象となる一般刑事事件を扱う検察の現場も相当な影響を受けているであろう。

 今そういう事情がありながら、あえて応援検事派遣も含む捜査体制の増強を行ったのであれば、よほどの事情があるからであろう。それは、強制捜査に着手したところ、民主党サイドの猛反発、強烈な検察批判などによって、予想外に大きな政治的・社会的影響が生じてしまったことに驚愕し、批判をかわすため、泥縄式に捜査の戦線を拡大しているということではないか。当初から、他地検への応援要請が必要と考えていたのであれば、強制捜査着手を別の時期に設定していたはずだ。

 民主党サイドだけへの偏頗な捜査と言われないように自民党議員にも捜査対象を拡大させる一方、小沢氏側に対しても、何かもっと大きな容疑事実をあぶり出すか、秘書の逮捕事実が特に悪質であることを根拠づけることが不可欠となり、その捜査のために膨大な人員を投入しているというのが実情だろうと思われる。

「大本営発表」を垂れ流す新聞、テレビ

 では、このような東京地検特捜部の捜査は、果たしてうまくいくのであろうか。

 3月11日の記事でも述べたように、今回、逮捕容疑の政治資金規正法違反事件には、「寄附者」をどう認定するかという点に関して重大な問題がある。献金の名義とされた西松建設のOBが代表を務める政治団体の実体が全くないということでなければ、大久保容疑者が西松建設の資金による献金だと認識していても収支報告書の虚偽記載罪は成立しない。そして、政治団体には実体が存在するかどうか疑わしいものが無数に存在するのであり、新聞では報じられていないが、この政治団体には事務所も存在し、代表者のOBが常駐し、一応活動の実態もあったという情報もある。団体としての実体が全くなかったことの立証は容易ではなさそうだ。

 もちろん、資金の拠出者の企業名を隠して行われる政治献金が、政治資金の透明化という法の趣旨に反することは明らかだが、そのことと犯罪の成否とは別の問題だ。とりわけ、政治に関する事件の処罰は厳格な法解釈の制約内で行わなければ、検察の不当な政治介入を招くことになる。

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