「O列車で行こう」

始動したミシェルのアメリカ

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2009年3月26日(木)

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 ついに、ミシェル夫人が動き始めた。

 3月、ミシェル・オバマ夫人はホームレスに食事を提供するボランティアをホワイトハウスのスタッフと協力して行った。ホワイトハウスのスタッフは、食べ物を提供し、ミシェル夫人は、ホームレスに食事をよそうボランティアに自ら参加した。

 通常、善意で集まる食事には、缶詰のスープなど加工食品が多くなる。一方、ミシェル夫人がイニシアチブを取った食べ物には、加工食品は含まれていなかった。ミシェル夫人はホワイトハウスのスタッフたちに「加工食品でなく、自然な食べ物を持ってきてください」と独自の注文をしていたのである。

 フリルのついた白いブラウスにコーラルピンクのカーディガンを羽織り、その上に紫紺のエプロンをつけ食事をサーブするミシェル夫人の姿はマスコミで大きく取り扱われていた。

「健康」を強調

 これに先立つ2月22日、ミシェル夫人はホワイトハウスのキッチンにニューヨーク・タイムズの記者と国際料理教室の学生たちを招き、ブリーフィングを行っている。ちょうど、その時のキッチンは、その夜にホワイトハウスで行われる初めての公式晩餐会の準備中で、色とりどりの料理が並んでいた。

 ミシェル夫人の傍らには、第1料理シェフのクリスタ・コマーフォード氏と第1デザートシェフのビル・ヨセス氏がいた。ミシェル夫人は、ホワイトハウスの日々の料理は、ワシントン近郊の素材を利用しており、「健康」がキーワードであることを説明した。メリーランド州、デラウェア州、ニュージャージー州などワシントンDC近郊で取れる野菜や果物を使い、脂肪の少ない料理を提供する、という。

 続いて、コマーフォード氏は、今日の公式晩餐会の料理のテーマはアメリカン・スプリッツである、と語った。今日の牛肉はネブラスカ州、ドラゴン人参はオハイオ州、ホタテ貝はマサチューセッツ州と産地を明らかにした。そして、ヨセス氏は、できるだけ添加物をつかわずに、アメリカの特産物を使用したい、と付け加えた。

 「ホワイトハウスのシェフたちは、クリームを使わずにクリームスピナッチが作れるのよ」とミシェル夫人は胸を張った。

 クリームスピナッチは、代表的なステーキの副菜だ。日本語にすると「ホウレンソウの生クリームあえ」といったところか。野菜不足を考えて、ついつい頼んでしまう。

 だが、小皿に盛られたクリームスピナッチを食べきることは難しい。ステーキも高カロリー。前菜のサラダのボリュームは大きく、ドレッシングには思ったよりもオイルが入っている。パンにはバターも塗る。これだけでお腹がいっぱいに近づく。

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著者プロフィール

横江 公美(よこえ・くみ)
PACIFIC21 代表

横江 公美 明治大学経営学部卒業。松下政経塾、プリンスト大学、ジョージ・ワシントン大学客員研究員などを経て現在に至る。政策、研修企画、広報戦略などのコンサルティングを行っている。主な著書に『第五の権力 アメリカのシンクタンク』(文芸春秋刊)、『判断力はどうすれば身につくのか』(PHP研究所)、『キャリアウーマン・ルールズ』(K.Kベストセラーズ)など。2009年2月14日に『日本にオバマは生まれるか』(PHP研究所)を出版。



このコラムについて

O列車で行こう

 「自分は黒人なのか。白人なのか。どちらでもあり、いやそのどちらでもない」

 ケニア生まれの黒人の父と白人の母を持つバラク・オバマ第44代アメリカ合衆国大統領は、生まれた時から自分探しの旅を宿命づけられていた。そのオバマ氏は黒人のミッシェル氏を夫人にすることで、その長い旅路に終止符を打ち、黒人としてのアイデンティティを固めた。

 エイブラハム・リンカーン第16代米国大統領の「奴隷解放宣言」から約150年、米公民権運動から約半世紀が経ち、ようやく誕生した"黒人大統領"。これで米国のかかえるマイノリティ問題が解決されたわけではない。オバマ大統領の新たな解放の旅路は、始まったばかり。

 新大統領が解放すべき問題をユニークな視点から解説する。

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