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毎年30万人を癒やす一本の千年桜

日本三大桜、「三春の滝桜」が見た日本人の嬉しさ

  • 宮嶋 康彦

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2009年3月27日(金)

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 1本の桜の木が、人々に歴史への崇敬を抱かせ、美意識を育て、共有財産の計り知れない重さを教えることがある。ここに紹介する桜は、1万8000人の町民と熱い血で繋がり、郷土の誇りを創出させた“千年桜”である。

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 町の人が異口同音に語るのは、「この桜が、まさかこれほど有名になるとは、想像しませんでした」という、謙遜を含んだ言葉だ。

 その桜は、3つの春(梅、桜、桃)が同時に訪れるという美しい町名を持つ、福島県田村郡三春町大字滝にある。桜木の名称は「三春の滝桜」。日本最大の枝垂れ桜(ベニシダレザクラ)で、幹回り8メートル、樹高9メートル、樹齢は1000年と言われている。

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シーズン中は33万人が訪れる日本三大桜の1本

 昨年の開花時から落花までのシーズン中に訪れた花見客は33万7983人、駐車場収入(滝桜協力金)は2147万円だったという。

 天保7(1836)年に編纂された『瀧佐久良記』(原本流失)には、歴代の三春藩主の、滝桜に寄せる思いが伝わっている。まず、桜木を御用木と位置づけて周囲の畑地を無税とし、竹の矢来で桜を囲み、養生に努めさせた。また、開花が近づけば早馬を出して状況を聞いたことが記されている。もちろん、見頃ともなれば供を引き連れて花見に臨んだ。「三春盆唄」にはこんな一節がある。

…滝の桜に手はとどけども 殿の桜で折られない

 樹齢の1000年は推定であるが、今から364年前の古文書には、秋田氏が藩主となった正保2(1645)年ころ、滝桜はすでに大木であったと記されている。

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 枝垂れ桜としては国内に比肩する桜はないが、桜愛好家の間では、岐阜県旧根尾村(現本巣市)の淡墨桜(うすずみざくら・エドヒガン)、山梨県旧武川村(現北杜市)実相寺の山高神代桜(やまたかじんだいざくら・エドヒガン・幹回りは国内最大)とともに、日本三大桜の1つとされている。三本の桜は大正11(1922)年、国の天然記念物の指定を受けた。

 桜木の根元には安政2(1855)年に祀られた小さな神明宮があり、滝桜が神の徳を持つ御神木として尊崇されたことがうかがえる。祭礼は花が満開を迎えるころに執り行われ、社の左右に大きな幟が掲揚される。

 桜花は“ベニシダレ”というだけあって、名がよく体を表している。満開を過ぎるまで紅色の艶やかさで個性を主張する。25年ほど前、初めて満開の滝桜に対面したときは、その妖艶さに圧倒されて息を呑んだ。端正な樹形、枝垂れる花は薄紅色の水流、そう、例えば「袋田の滝」のような滑らかに巌を流れ下る滝を想像させた。

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