西松建設を舞台にした政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は、逮捕した民主党の小沢一郎代表の公設第一秘書を起訴した。真相解明の舞台は司法の場に移されることになったが、小沢氏は民主党代表の地位を続投することを表明した。一方で、「企業献金の全面禁止」を訴え始めた。
一連の事態の推移を見ると、まるで2つのデジャブを見ているかのようだ。
1つは、田中角栄元首相、金丸信自民党元副総裁、そして今回の小沢代表秘書逮捕と、脈々と続く田中角栄的錬金術と検察の戦いである。
2つ目は、1993年に小沢氏が新生党を結成した時のことだ。小沢氏は当時、自らの所業を自己批判して、自民党を飛び出し新党を結成した。作戦は功を奏し、総選挙で小沢氏率いる新党は議席を伸ばし、自民党は敗北。小沢氏は連立政権側に回り、政権に居座り続けることに成功した。
「企業献金の全面禁止」の主張は、まさに、この成功体験と同種である。恩恵を受けてきた張本人が見直そうというのだから虫のいい話である。今回の事件が、小沢氏の第2の成功体験にならないことを祈らずにはいられない。
企業献金禁止は何の解決にもならない
企業献金禁止、と言えば聞こえはよい。だが、企業献金禁止は何の解決にもならない。現実感のない倫理を振りかざしても意味はない。問題の根本をしっかりと捉え現実的な解決策が重要だ。
問題の根本は何か。必要なのは資金を提供する側と政治家の関係を公正に保つことだ。資金の出し手が個人であろうと企業であろうと、カギは公正さだ。英語で公正を意味するフェア(Fair)の語源は「美しさ」。企業献金を禁止しても、実態が企業であるにもかかわらず、企業の姿を隠した献金を許していては、そこに美しさのかけらもない。
昨年の米大統領選でバラク・オバマ大統領が史上最高の7億4500万ドルの選挙資金を集めたことが如実に示すように、政治にはカネが必要なことは、米国にかかわらず日本の有権者も候補者も理解している。
オバマ大統領の集めた資金の規模については米国でも議論はあるが、政治には一定のカネが必要だ。それにもかかわらず、禁止を主張することは、思考を停止させる。前向きな解決策ではないのである。
今、必要な議論は、公正な政治資金の仕組みを作るにはどうしたらいいのかではないだろうか。それを考えるに当たって、まず認識すべきことは、政治と企業は切り離すべき関係ではない、ということだろう。
政治家にとっても、政策を議論する際には、政策は雇用の源でありかつ政治家はその分野の専門家である。企業の立場は無視できないし、蓄積する知識は必要である。一方、企業にとっては、政治は必要である。ボーダーレス、自由主義経済がいくら進展しても、国境がある以上、企業は政府の方針を無視できない。
スキャンダルが起きるたび米国が進化させてきたこととは
企業にとっても、政治にとっても、双方の意向調整が必要という状況を理解して制度を作っている国がある。その代表が米国である。その米国でのキーワードは、資金の透明化だ。
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明治大学経営学部卒業。松下政経塾、プリンスト大学、ジョージ・ワシントン大学客員研究員などを経て現在に至る。政策、研修企画、広報戦略などのコンサルティングを行っている。主な著書に『







