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対話なき「金融バカの日」の悲劇

G20サミット、銀行救済反対デモの現場から

2009年4月13日(月)

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 4月1日、英ロンドン。20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)の開催を翌日に控えた首都は、異様な空気に包まれていた。

「金融バカの日(Financial Fools' Day)」

 「4月バカ(April Fools' Day)の日」をもじって、そう名づけられたこの日、金融街「シティー」には、銀行救済に反対する人々が集結し、デモを繰り広げていた。英銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの店舗は暴徒に襲われ、窓ガラスが粉々に砕け、コンピューターや家具などが外に放り投げられた。

 その衝撃的な映像が、世界に流れた直後のことだった。為すすべなく傍観していた警察が、一転して反撃に転じた。そして、「デモ対警察」5時間闘争は、悲劇的な幕切れを迎えることになる。

 日本では報じられていない、金融サミット・デモの内側をリポートする

なごやかな雰囲気が一転、警官隊がパニックを呼ぶ

 午後3時30分、地下鉄「マンション・ハウス駅」交差点。突然の出来事に、路上は騒然となった。警官隊が、四方から一斉に駆け寄ってくる。1部隊が15~20人程度。そして、人々を囲い込む。

 この頃、人々は和やかな雰囲気でデモを続けていた。クイーンビクトリア通りに繰り出していた群衆の中には、プラカードを手に気勢を上げる人もいたが、多くの人々は、余興に参加している気分だったに違いない。若者の姿が目立つが、座り込んでビールをあおっている中年男性や、車椅子の老人もいる。音楽をかけながら踊っている一団、そして輪になって談笑する学生たち…。

 だが、警官隊の登場で、パニックに陥った。逃げ出そうとするが、どの道にも警官が壁を作り、立ちはだかる。そんな中で、血気盛んな若者たちが、押し寄せる警察官と対峙する格好となった。ペットボトルやゴミが警官隊に向かって投げつけられる。警官隊は2つの列を作り、前列はデモの中心を包囲するとともに、後列が周辺で見物している人々を遠ざけていく。

 隔離された形になったデモの中心にいた人々は、激しく警官隊とぶつかり合った。

「オレたちが戦いたいのは銀行家だ。ポリスは引っ込んでろ」

 怒号が飛び交い、あちこちで小競り合いが始まる。顔面から血を流した若者が、仲間に抱えられるようにして前線から引きずり出され、交差点の真ん中に横になった。

 クイーンビクトリア通りとクイーン通りの交差点は、四方の道をすべて封鎖された。上空にはヘリコプターが舞い、状況を監視している。ビルによじ登る者や、壁を乗り越えて逃げようとする者も後を絶たないが、警察が着実に逃げ場をふさいでいく。

 30分が過ぎた頃、交差点の中心には、あきらめた人々が座り込み始めた。ビールやウイスキーをあおる人も多く、酩酊状態になった人がよろめきながら歩いている。突然、巨体の男が、歩道に仁王立ちになって、そのまま嘔吐を始めた。上半身裸で、警官隊に詰め寄る者もいた。

 狭い空間に押し込められた鬱憤がたまり始めたその時だった。
 午後4時過ぎ、突然、クイーンビクトリア通りの東側に立ちはだかっていた警官隊が、バリケードを解除して走り去っていく。

「警官が逃げて行くぞ」

 人々は気勢を上げた。空いた穴から水が噴き出すように、人々は走って逃げ出し始めた。近くのビルでは、勝利を確信したかのように、デモ参加者が勝手にポールに青い旗を掲げた。人々が拳を突き上げ、歓喜の声を上げる。

 だが、間もなく、自分たちが、警官隊の仕組んだ巨大な罠にかかったことを知ることになる。

午後3時30分、英ロンドン中心街にあるマンション・ハウス駅近くで、デモ隊を見守る人々
警官隊が出動

人々は当初、茫然と警官隊を見つめていたが…
警官隊の強硬な姿勢に、逃げ出す人々

クイーンビクトリア通りは騒然とした雰囲気に変わっていった
警官隊が列を作って、通りを封鎖し始める

警官隊が手前のデモの中心を取り囲み、もう1つの警官隊が見物者を遠ざけていく
見学者側からも「警察は帰れ」というコールがわき上がる

建物の上に登って、封鎖を逃れようとする男性
まだこの頃は、余裕を見せる人々も

閉じ込められた圧迫感からか、壁を登る人が出始める
封鎖された交差点の中央付近では、あきらめて座り込む人も

四方の道はすべて警官隊が封鎖していた
この道にも警官隊が…

警官隊を挑発する半裸の男
「新しい国際秩序に反対!」

包囲網が徐々に強化されていく
徐々に、狭いエリアに押し込められ、警官隊との衝突が頻繁に起きる

突然、通りの東側の警官隊が撤退したため、逃げ出そうと人々が走り出した
デモの勝利を祝うかのように、旗が掲げられた

コメント15件コメント/レビュー

ちなみに、18日現在までに明らかになったには、亡くなった人の死因は、警察が主張していたように心臓発作ではなく、内出血で、偶然、警官の暴力を撮影していた映像からも、警官の「犯行」が裏付けられているとのこと。 この一連の件でのアピールは145件に上っているそうです。(出所:欧州のメディア)(2009/04/18)

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「対話なき「金融バカの日」の悲劇」の著者

金田 信一郎

金田 信一郎(かねだ・しんいちろう)

日経ビジネス編集委員

日経ビジネス記者、ニューヨーク特派員、日経ビジネス副編集長、日本経済新聞編集委員を経て、2017年より現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ちなみに、18日現在までに明らかになったには、亡くなった人の死因は、警察が主張していたように心臓発作ではなく、内出血で、偶然、警官の暴力を撮影していた映像からも、警官の「犯行」が裏付けられているとのこと。 この一連の件でのアピールは145件に上っているそうです。(出所:欧州のメディア)(2009/04/18)

米国在住者です。こちらのテレビのニュースなどの報道ではこのような実情は全く分かりませんでした。日本と同じで本当に大事なニュースは報道されません。警察が家畜を集めるようにでも参加者たちを集めて「統制」する戦略が成功すれば、他の国もまねするところが出て来るでしょう。市民が不平、不満、怒りをデモで表すことさえできなくなる日が来る。非常にきな臭いものを感じます。本当のジャーナリズムをありがとう。(2009/04/16)

逆に、日本の新聞やテレビに一切このことの報道が無いということに情報統制がなされているのでは、という恐ろしさを感じます。(2009/04/15)

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