「ニュースを斬る」

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2009年4月14日(火)

小沢代表が今、行うべきこと

第三者委員会で検察、メディア問題の検証を行うことの意味

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 民主党が、小沢一郎代表の公設第一秘書が政治資金規正法違反で逮捕・起訴された政治資金の問題に関して、小沢代表の説明責任、検察、メディアの在り方などを検討・議論する党外の有識者による会議を設置。その初会合が4月11日午前、都内のホテルで開かれた。

 同日午後には座長の飯尾潤教授(政策研究大学院大学)と座長代理の筆者が記者会見を行い、正式名称を「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に 関する第三者委員会(略称:政治資金第三者委員会)」とし、5月中旬までに、計6回程度の会合を開催して検討・議論の結果を報告書に取りまとめる予定であること、委員会開催後には、毎回メディア向けのブリーフィングを実施し、ビデオニュースで公開、ゲスト有識者も招き、意見の聴取、意見交換を原則公開、専用のホームページを立ち上げて広く意見募集を行うなど、オープンな議論を行っていく方針を明らかにした(第1回会合の概要、記者会見の動画などは専用のホームページで公開)。

 この委員会は、今回の政治資金問題に関する小沢代表および民主党の対応、説明責任、それに関連する検察とメディアの問題を検討することを目的として民主党が設置したものだが、民主党からは完全に独立した位置づけになっており、事務局も新日本有限責任監査法人の子会社が行い、検討の具体的内容、進め方などにつ いては委員会が独自に判断することとされている。

検察、メディアの問題を検討・議論することの意義

 半年以内に総選挙が行われるという政治的に極めて重要な時期に、野党第一党の党首の公設秘書がいきなり逮捕され、結局、起訴された事実は、3500万円という比較的少額の政治資金規正法違反、しかも、収支報告書に記載された「表の寄附」の名義に関する「形式犯」だけ、という従来の検察の常識からは考えられないものだった。

 一方で、秘書逮捕以降、新聞、テレビでは、出所不明の「関係者供述」によって、政治献金が公共工事の談合受注の見返りであるかのような報道が連日行われた後、世論調査の結果から「小沢氏説明不足」「辞任すべし」が民意だとの報道が繰り返されている。

 しかし、その辞任論の根拠は、「政治資金に関してかねて問題が指摘されていた小沢氏の公設秘書が政治資金規正法違反で起訴されたこと」だけだ。与野党の支持率を大きく変え、小沢氏を首相候補の筆頭から引きずり降ろす結果になった検察の捜査、そして、それに関するマスコミ報道についても検証を行うことが、国民が、小沢辞任論の当否を判断し、総選挙における政権選択を適切に行うためにも不可欠であろう。

 メンバー構成にも、そのような委員会設置の目的が反映されている。小沢代表や民主党の対応や説明責任を明らかにするという委員会の主たる目的からすれば、民主党の在り方等に関してかねて厳しい意見を述べておられる政治学者の飯尾教授が座長として委員会を代表するのは極めて自然なことと言えよう。

 筆者は、検察の現場で多数の政治資金規正法違反を手掛けてきたほか、不二家関連報道におけるTBS「みのもんたの朝ズバッ!」の捏造疑惑の追及を はじめ、メディアとコンプライアンスの問題や新聞、民放会社、NHKなどでのコンプライアンスの指導・啓蒙にも関わってきた。検察やメディアの問題についての検討を主として担当することを期待されているのであろう。

 検察の説明責任については、行政法学者で行政組織の説明責任の問題にも詳しい、学習院大学の櫻井敬子教授が加わられていることで議論の客観性が確保される。また、メディア論の専門家でBPO放送倫理検証委員会の委員でもある立教大学の服部孝章教授の参加は、今回の政治資金問題の事件報道の在り方の検討・議論のためであろう。

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著者プロフィール

郷原 信郎(ごうはら・のぶお)
名城大学教授
コンプライアンス研究センター長

郷原信郎1955年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官、桐蔭横浜大学法科大学院教授などを経て、2009年から現職。警察大学校専門講師、公正入札調査会議委員(国土交通省、防衛省)なども務める。主な著書に『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『入札関連犯罪の理論と実務』(東京法令出版)、『思考停止社会〜「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など。近著には『検察の正義』(ちくま新書)がある。


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